日常から離れ、神が創造された自然を近くに感じ、信仰を深め、様々な決心の場となってきたクリスチャン・キャンプ場。本来夏は青少年のキャンプが目白押しだったが、今年はコロナ禍で多くがキャンセルとなった。経営的にも大きな打撃となっている。本紙では紙上とオンラインを組み合わせ、連載で各地のキャンプ場に思いをはせる。その第二回目。

第一回は
キャンプと創造① 「今だからできる新しいこと」 シオン錦秋湖2020年8月7日

夏のヤマユリ

コロナ禍だからこそできる用いられ方

―宮城県宮城郡利府町のオアシスセンター キリスト教森郷キャンプ場は、昨年の台風19号で被害を受け、4月に営業再開を予定していたが、その前にコロナ禍に見舞われた。通常のキャンプ場営業を控えている。しかし、そのような中でも「コロナ禍だからこそできる用いられ方」を模索展開している。それは東日本大震災後にも経験したキャンプ場の用いられ方を再認識させるものだった。スタッフの三浦良太さんに聞いた。

三浦 昨年10月の台風19号で経路となる林道が崩れ、営業停止となっていました。4月の再開をめざしていましたが、コロナ禍の拡大を受けて、予約のキャンセルもあり、厳しい判断をしました。特例でお貸しした団体もありましたが、注意して利用してもらいました。

「コロナ疲れ」の牧師たちへリフレッシュの機会提供

野外礼拝堂

―このような中、気にかけていたのは、「コロナ疲れ」の牧師、教師のことだった。教会堂での礼拝の是非、衛生管理の判断、教会活動全般の見直し、限られた手段での役員や教会員との連絡、牧会ケア、オンライン配信の操作運営…など、多くの役割とプレッシャーが牧師に降りかかってきた。海外からの支援金も受けて、森郷キャンプ場では、牧師教職とその家族限定プランを近隣、近県の教会に呼びかけた。

三浦 近くに湖があり、森に囲まれ広々とした森郷キャンプ場で休んでもらいたいと思いました。教会堂での礼拝休止やオンライン対応で苦労のあった先生方に、家族だけで周りを気にせず過ごしていただきます。数組の先生方が利用され、「リフレッシュできた」と話してくださいました。通常の営業でしたら、夏は団体利用でいっぱい。牧師も奉仕の側で忙しかったと思います。今回コロナ禍だからこそ、普段できないかたちで用いられました。ここで力を得て、またそれぞれの教会で精力的に働いてほしいと思います。

生石庵

―森郷キャンプでは、地域でも好評のカフェ生石庵(おいしあん)がある。三密を避けて営業自粛中だが、オンラインでの取り組みが展開した。

三浦 夏は水出しコーヒーが好評です。7月には売り上げの一部から、九州豪雨のための支援金を送るというキャンペーンを始めると、多くの反響がありました。オンラインが少しずつの支え、輪になっていると思います。これも今までだったらできなかった働きでした。常連のお客様からは、「いつ再開?」という声をいただきます。地域のコミュニティーカフェやイベントに出店させてもらったり、少しずつ輪を広げています。通販を支えに何とか再開をめざしたいと思います。

豊かな自然で青少年の育成の場に

宿泊棟シャロームハウス

―森郷キャンプ場は約60年前に始まった。当時の主任牧師、齊藤久吉先生と共に働いた、米国のバプテストの宣教師テッド・リビングストン先生は来日当初からキャンプによる青少年育成のビジョンがあった。

三浦 キャンプ場の候補地を東北六県で探したのですが、灯台下暗しで利府村内に県有林に行きつきました。宣教師や役員で祈り合ったそうです。そのような中、地元のつながりを通じで譲渡を受けることができました。

―海外からの支援金も得て、本館、宿泊棟をもつ。その後ダム開発で土地を一部譲渡したが、1万8000坪は、日本のクリスチャンキャンプ場でも最大規模だ。

三浦 かつては農村でしたが、だんだんと仙台のベッドタウンとなり、住宅地が広がりました。今や森郷は、地域でも貴重な森林となっています。

紅葉

―面積の半分から3分の1は、県有林の試験林だった杉林、赤松。そのほかはミズナラ、クリなど広葉樹。湖が近く、昆虫、動植物が多種多様だ。キツネ、タヌキ、リスなども生息する。カブトムシもあちこちで捕れる。野外礼拝堂周辺は、春は紫色のカタクリ、夏はヤマユリ、秋は紅葉で彩られ、散策を楽しめる。

三浦 東日本大震災以降建物の損害で建物の規模が縮小していますが、ミッションスクールや幼稚園、小学生のキャンプが催されてきました。1時間のハイキングコースがあり、植生の違いを説明します。仙台など都会の子どもたちは、生き物に触れる機会が少ない。「いきものの時間」というプログラムを盛り込んで、あらかじめ捕まえておいたヘビやカエルを見せて、触る体験をしてもらいます。これは前の管理者から40年続く取り組みで、かつて子どもだった人たちが、今は親となり、森郷に来ると昔を懐かしむということもあります。ほかにもBBQ、キャンプファイアなど野外でアクティブに使ってもらえます。

災害とその中で見出す恵み

―昨年見舞われた台風をはじめ、集中豪雨など災害や自然環境の変化を感じている。

三浦 山林は比較的災害に強いのですが、昨年の台風のように想定外のことがあります。どこでも災害に巻き込まれる可能性がある。そんな時代になったと思います。

―そのような中だからこそ、キャンプ場の意義を再認識もしている。

三浦 このようなことに巻き込まれても何とか元気に支えられていることは感謝です。東日本大震災のとき、救援組織のクラッシュジャパンやサマリタンズ・パースのボランティア拠点になりました。ボランティアは、石巻などで、がれきや壊れた家など大変な状況を見るけれども、「湖や森に囲まれた森郷に戻るとリフレッシュした」と話してくれました。現地でテントを張って支援することもあったそうですが、毎日がれきを見ると、心が重くなり、力も出なくなるのだと言います。森郷は神様が備えた良い場所だと思います。手入れは大変ですが、地域に用いてもらいたい。多目的ホールなどリフォームしました。エアコンもあり、回りは広々しているので窓を開けて、換気を良くしてもらえれば安全です。高速のインターや駅からもアクセス良く用いていただいています。

祈りの課題

三浦 来年以降どうなるか、経済的な不安もある。海外からの支援金、行政の助成などいろいろな支えに助けられています。しかしコロナがいつまで続くか。大人数で集まるのはどうなのか。知恵をいただきながら、新たな選択が迫られています。牧師のためのリフレッシュのプランなど、コロナ禍だからこそ、できる用いられ方がありました。神様にゆだね、今後の展望を祈っていきたいと思います。

オアシスセンター キリスト教森郷キャンプ場

TEL022-356-2045 HP http://oasislifecare.org/campmorigo.html

【献金あて先】

郵便振替 02240-0−4539

ゆうちょ銀行 他行から 二二九(ニニキユウ)当座 口座番号:0004539

口座名義:利府キリスト教会(リフキリストキヨウカイ)

※名義は教会だがキャンプ専用口座

 

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