日常から離れ、神が創造された自然を近くに感じ、信仰を深め、様々な決心の場となってきたクリスチャン・キャンプ場。

本来夏は青少年のキャンプが目白押しだったが、今年はコロナ禍で多くがキャンセルとなった。経営的にも大きな打撃となっている。本紙では紙上とオンラインを組み合わせ、連載で各地のキャンプ場に思いをはせる。その第一回目。


新緑のテレワーク

コロナ禍で8月末まで通常キャンプ休止

 

―岩手県和賀郡西和賀町のシオン錦秋湖は、3月から8月末までに予定されていた通常のキャンプを中止した。しかしスタッフたちは、この期間を生かして「今だからできる新しいこと」にチャレンジしている。その取り組みとは?キャンプディレクターの荒木貴幸さんに聞いた。

荒木 「来たい」というニーズは高まっています。地域の旅館やお店は、感染拡大防止と経済活動のバランスでオープンするところもありますが、クリスチャンのキャンプ場として、諸教会に貢献する立場ですので、みな礼拝や集会の開催に悩む中で、諸教会の理解をこえるやり方は、ふさわしくないと思い、8月末までキャンプ場はオープンしないできています。ファミリーへの貸し出しもストップしました。運営主体の保守バプテスト同盟の総会が毎年5月に錦秋湖で開かれていましたが、今年はオンライン開催になりました。

 

今だからこそのキャンプ YouTubeチャンネル開設

―このような中、「今だからこそのキャンプ」としてシオン錦秋湖が始めたのは、「シオン錦秋湖YouTubeチャンネルの開設と配信だ。

荒木 中高生は春夏のキャンプで信仰のモチベーションを保っています。コロナで普段の教会の集まりもできない中、キャンプ場も何もやらないのはよくないと思い、オンライン企画を始めました。

春の中高生キャンプにスタッフとして奉仕するはずだった大学生たちが、自発的に何かできないかと賛美ユニットKINSHUKO UNITEDを結成し、動画をアップしています。ずっとキャンプで育ってきた彼ら彼女らの成長を見た思いがします。

夏には彼ら彼女らだけキャンプ場に来てもらい、キャンプ場の様子を配信しようとしましたが、ご存じのように、ずっとゼロだった岩手県でも感染者が発生し、感染再拡大もあるため、それは断念しました。

 

―動画には、賛美演奏のほか、ポップな雰囲気でのコーヒードリップ、お菓子作り、動画募集コンテンツなどがある。少し変わり種なのが、「錦秋湖アンビエント」という映像シリーズ。場内の雨模様やせせらぎ、ウッドデッキなどの風景の中を20分ほど流している。

荒木 利用者の方からの要望で始まりました。ステイホーム期間に、「デボーションのいいBGMがないので困っている」と。

 

夏のオンラインユースキャンプ

―そして、この夏開催するのが「夏のオンラインユースキャンプ」(8月1719日※締め切りは10日)だ。中高大生(専門学校生なども含む)を対象に、「今を生きるキリスト者」と題して、世界各地から3人のゲストを中継でつなぎ、メッセージ、グループシェア、質疑応答をする。

荒木 1人目は「“礼拝”に生きるキリスト者」と題して、イスラエル・エルサレムにいるブリッジ・フォー・ピースの梶山大さんが話します。生きる生活すべてで礼拝をしているユダヤ人の信仰のかたちから学んだことを伝えてくれます。教会に集まれない状況がありますが、日曜だけではなく、礼拝者として生きる、というチャレンジを与えてくれます。

2人目はアメリカの神学校で学ぶ岡谷和作さんが「“文化”に生きるキリスト者」を語ります。アメリカでは文化の神学が発達しているとのことです。特にウェブ、IT文化については、コロナ禍の中でますます課題があります。聖書的にどう正しく理解するかを語っていただきます。

3人目は東京・下北沢グレイスガーデンチャーチ牧師の田所慈郎さんによる「“希望”に生きるキリスト者」。コロナ禍前のデータだったと思いますが、各国の若い世代のアンケートで、「世の中が良くなると思うか」という問いに、世界で20%の人しか「良くなる」と回答しないということです。日本は先進国の中でも最下位の割合でした。そのような中でキリスト者は何を希望とするかをチャレンジしていただきます。

 

―ほかにもキャンプ場内に利用者がいないからこそできないことを進めている。

荒木 お客さんがいないからこそ、「行けない間に・・・キャンプがもっと良くなってる!」と言って頂くために、ツリーハウス、ピザ釜、ローデッキなどのキャンプアップグレードプロジェクトを進めています。

 

非日常の中で味わう3つのC


夏の水遊び

1968年に開設したシオン錦秋湖は、50周年を前に、変わらないことは何か、という問いを「非日常の中で味わう3つのC」としてChrist、Creation、Communityでまとめた。それぞれChrist(Simple:シンプルに)、Creation(Slow:ゆっくりと)、Community (Safe:安心して)とコンセプトを展開している。

荒木 キャンプ場がどの時代にあってふさわしい在り方でキリストとの出会いがあると思います。3つのCは、そのためのコアバリューです。シオン錦秋湖は、1万5000坪の敷地の中に山や川など自然が豊かにあり、その環境の中で、神様に創られた本来の自分の姿を取り戻していってほしいと思います。キャンプスタッフとキャンパーは、「おかえりなさい」「ただいま」と声を交わします。神の家族としての安心/安全な交わりの場の中で過ごしていただければと思っています。

秋だけでなく春夏秋冬を味わえる


秋の紅葉


冬のかまくら


春のカタクリ

―その名前から想像できるように、「錦秋湖」は、秋の紅葉で知られる景勝地だが、四季の変化も楽しめる。その折々に合わせたキャンプを企画してきた。

荒木 春は5月に新緑キャンプ。山菜を採って天ぷらにしたりします。夏の小学生向けアウトキャンプでは、外でテントを張ります。秋は、紅葉ですが、実は連休シーズンから外れているので、シニア向けに平日のプログラムを開催しています。近くの温泉を訪ねるなども好評いただいています。冬は年末年始の新年キャンプ。かまくらを作って新年のカウントダウンをします。3月の中高生や学生のキャンプも雪の中で開かれることが多いです。

 

―近年は若干気温の変化を感じているという。

荒木 大雪が南下していて、やや減少している。しかしそれでも、もともと雪は多い。豪雨など環境変化も感じるが、周囲は杉山ではなく、広葉樹林で保水力があるため増水の被害が起こることはほとんどありません。夏は猛暑の期間は一週間ほど。その期間も夜は窓を開けっぱなしにすると風邪を引いてしまうほど涼しいのです。

 

―こういった豊かな自然環境の中でのキャンプ再開を待ち望む声は多い。最後に祈祷課題を聞いた。

荒木 秋以降もキャンプ運営は厳しい見通しです。でも皆で集まれるキャンプが回復し、ふさわしい時期に開けるように願います。

経済も課題です。この期間720万円の献金の必要があります。皆がキャンプに戻ってくるときに健全に運営ができるようにと思います。通常とちがう運営体制の中で、スタッフのストレスや不安も心配です。しっかり主に信頼できるよう霊性のためにお祈りください。

「今だからこそのキャンプ」を創造的に生み出すことにチャレンジしています。コロナ禍ではなくても、新しい視野での創造的な取り組みはいつの時代でも必要なことでした。それをしないと、何か苦しいことが起こると衰退してしまいます。

シオン錦秋湖

TEL 0197-82-2269 HP http://www.kinshuko.com/

【献金あて先】

ゆうちょ銀行 普通口座 シオン錦秋湖 18330 – 16059281

※他銀行から 店名:八三八(ハチサンハチ) 店番:838、普通口座 番号:1605928

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