日常から離れ、神が創造された自然を近くに感じ、信仰を深め、様々な決心の場となってきたクリスチャン・キャンプ場。本来夏は青少年のキャンプが目白押しだったが、今年はコロナ禍で多くがキャンセルとなった。経営的にも大きな打撃となっている。本紙では紙上とオンラインを組み合わせ、連載で各地のキャンプ場に思いをはせる。その第九回目。

前回は キャンプと創造⑧ キャンプ宣教はまだまだ必要 松原湖バイブルキャンプ2020年10月25日

 

―東京都都西多摩郡奥多摩町にある奥多摩福音の家。クリスチャン同士の交わり(ヨハネの手紙第一)、神の恵みの福音を証する任務(使徒の働き20章24節)、大自然を通して創造主を覚える(ローマ人への手紙1章)を使命として活動しきたキャンプ場だ。コロナ禍に様々な対応をしてきたが、ウェブセミナーなどを除いて12月末まで休業中だ。キャンプ場の状況についてディレクターの牧野広隆さんに聞いた。

春から相次ぐキャンセル受けて対策と休業

牧野 2月中はどうにかキャンプを開催できましたが、3月はすべてキャンセル。夏の一部の期間を除いて利用はありませんでした。3月までに学校関係が休業要請を受け、集まることに忌避感があり、各キャンプの主催者の方でも自主的に中止にしたようです。キャンプ場としても春から次善策を練っていましたが、感染の長期化が予想されました。夏のキャンプもキャンセルとなり、5月には奥多摩福音の家としてもキャンプ利用の営業を中止しました。8月の三週間だけ、家族、個人利用で開きましたが、「普段だったらいろんな教会の人たちと集まれるが、自分たちの家族しかいない」というさみしさを口にされていました。

DVDやオンラインのセミナー、キャンプを実施

―この期間、当初6月に予定されていた内田和彦氏(JECA・前橋キリスト教会牧師)の講演会は中止となったが、牧師室で撮影したDVD、ブルーレイディスクを作成して販売した。「山上の説教に学ぶ『真の幸福』」の題の連続説教全16回(計250分)だ。

 

牧野 すでに120本が売れて、皆さんお家で学ばれています。11月28日には、「イスラエルの地における聖書考古学―近年の発掘調査から―」のテーマに、東京基督教大学教授で考古学が専門の菊池実先生を招き、Zoomを利用したウェブセミナーを予定しています。

 

―夏には小学生、中高生向けにオンラインキャンプを企画した。小学生向けのキャンプはパペットやパワーポイントを使ったメッセージ。キャンプの雰囲気を味わえる動画や、工作キットの郵送などを実施。中高生向けにはZoomを利用。完全なオンラインではなく、湘南ライフタウンキリスト教会を会場にしてオンライン配信をした。

 

牧野 画面越しですが、リアルタイムにキャンパー、カウンセラーが交流できました。オンラインの手軽さから、忙しい受験生や初参加の中高生も参加できました。しかしその反面Zoomの特性上、子どもたちどうしの横のつながりが難しいと感じられました。顔が見えたり、手をふったりはできても、会話はできない。後でLINEで連絡を取り合ったという話は聞きます。冬の期間にも、中高生向けのオンラインキャンプを企画しています。しかし「早く福音の家で“三密キャンプ”がしたい」という声をもらいます。やはりオフラインでしか味わえないキャンプの喜びと経験があります。寝食を共にし、時間を過ごす中でキリストを証し、御言葉を味わう恵みはオンラインでは代用できません。

奥多摩を覚え祈りと支援をする人々

―ほかにも奥多摩福音の家を応援する取り組みとして、黒パンとクッキーを販売(シュトーレン準備のため現在休止)、クリスマスに向けてシュトーレンも販売する(10月31日から)。

 

牧野 黒パンやクッキーは主催キャンプで提供していました。今回1000個以上を販売ができました。シュトーレンは新年聖会で販売していました。それぞれふだん利用している方から、「これならキャンプ休止中でもできるのでは」とご提案いただいたものです。祈ってくださる人がいる、忘れないという思いを献金だけではなく、具体的な物で伝えていくことができるのかなと思います。

 

―ホームページでは、濃い緑の山々の写真が奥多摩らしさを表している。自然を身近に感じるのもキャンプ場ならではだ。

 

牧野 川がすぐそばにあり、夏は水遊びが楽しめます。さらに上流に出かけると、紅葉がきれいなスポットがあります。

横のつながりが励みに

―改めてキャンプの意義とはどういうところにあるだろうか

牧野 大きな教会であれば様々な活動を一つの教会で完結できるかもしれないが、小さな教会では青年が一人いるかどうか。教会学校にも決まった家族の子どもしかいないため、閉鎖的になってしまう。しかし、キャンプに来れば、信仰が励まされる。例年春秋にはキリスト者学生会の学生が大学合同の合宿で利用してくれる。そこで学校外の仲間と出会っているようです。

祈りの課題

牧野 来年の予定を立てられない。普段の利用の収入が見込めず、予算を立てるのが厳しい。

そのような中でも動きがあるのは、幼稚園からの利用の相談があります。幼稚園は、日頃から感染対策をしっかりしている。いくつか、いつも利用してもらっている幼稚園にも声かけて、利用方法を話し合っています。キャンプ場としても、感染防止策、食事の配慮、など考えた上で一つのケースとして学べるだろうと思います。

 

奥多摩福音の家 HP http://ofi.camp/

献金のあて先 郵便振替口座 : 00170-5-92451   名義 : 奥多摩福音の家

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