日常から離れ、神が創造された自然を近くに感じ、信仰を深め、様々な決心の場となってきたクリスチャン・キャンプ場。本来夏は青少年のキャンプが目白押しだったが、今年はコロナ禍で多くがキャンセルとなった。経営的にも大きな打撃となっている。本紙では紙上とオンラインを組み合わせ、連載で各地のキャンプ場に思いをはせる。その第七回目。

前回は ○キャンプと創造⑥ 椿、火山、海の雄大な景色 大島・いずみのいえ2020年9月18日

それぞれの世代、規模に合った方法で

都心から1時間半ほどでいける、東京のオアシス、奥多摩。この夏新型コロナ禍で、移動が制限される中、奥多摩は、東京都民を中心に人々で賑わった。とは言え、三密が避けられる中、クリスチャンキャンプ場も、例年通りの利用は難しい。今年創立60周年を迎えた奥多摩バイブルシャレ―(OBC)はこのような中、キャンパーたちとのつながりをもつ工夫をしている。マネージャーの大倉寧さんに聞く。

大倉 3月頭ころから、キャンプが一切なくなりました。7~8月も予定していた団体のキャンプが中止、OBC主催のキャンプも中止しました。当初は設備のメンテナンスなど、できることをしていました。6月後半からは少人数で、家族や数人での利用などできるようになりましたが、全体の利用数は例年の5パーセント程度です。

動画やグッズの企画

―フェイスブックやインスタグラム、YouTubeなどSNSを積極的に使い、発信に努めた。夏には小学生と中高生向けにそれぞれオンラインキャンプを実施した。

大倉 はじめて動画配信にチャレンジしました。手探りですが、それぞれの世代にあったやり方を模索しました。中高生はインスタライブ、小学生はYouTubeで配信しました。夏休みが短くなり、すでに学校が再開していた時期だったので、夕方からのプログラムにしました。ふだんキャンプで奉仕してくれる人は、人数を制限して来てもらい、賛美やゲームなどをやったりしました。若い人とのつながりを感じました。中高生のオンラインキャンプのライブ配信には80のアクセス、小学生の配信(アーカイブ公開)にも一週間で800アクセスがありました。中高生は各集会のライブ配信の後に、Zoomでの分かち合いの時間もありました。そこには人数は多くはなかったのですが、家族のフォローがあると参加しやすいようです。キャンパーのOBOGも配信を見つけてくれ、面白がってコメントをつけてくれました。ふだんできないことをできた、という思いはありますが、やはりキャンプ場で集まらないとできないこともあるなあ、と限界も感じながらやっています。

―そのほか、ドローンの空撮や、60周年記念の賛美リレーなど動画を使った試みもあった。

さらに例年キャンプ参加者用にTシャツを作成して販売していたが、今年はOBC支援として「FAITH over FEAR」(イザヤ41章10節)をテーマにしたTシャツを販売。またOBC支援ミステリースイーツボックスを販売している。

大倉 日頃お出ししているデザートからスイーツボックスをつくりました。ミステリーとしているけれども、ふだん来ている人には予想できるかもしれません。友だちへのプレゼントなどにも利用してもらっています。

―9月の土日、連休は奥多摩が賑わった。

 

大倉 野外のキャンプ場が注目されていて、どこも超満員。OBCにも一般の人から問い合わせが来ます。教会関係の利用に限っていますが、日帰りで集会、BBQをして帰るなどの利用はあります。OBCも今、アウトキャンプをご家族や少人数での利用を中心に呼びかけています。

存続そのものを問うコロナ禍

―コロナ禍で問われたキャンプ場の意義については

大倉 「密を避けて」と言われるが、キャンプはどうしても密。一堂に集い、それぞれ部屋で宿泊し、じっくり御言葉を聞き、祈り、分かち合う。それらが禁じられてしまうのは大きな打撃。クリスチャンのキャンプ場が継続できるのか、これから問われます。できれば元に戻ってほしいというのが本音。ただハーバード大学の調査などでは2022年までこの状況が続くとも言われています。そうなった場合どうするか。規模を小さくするだけで対応できるかどうか。

―60周年を迎えるOBCは、今年RUN THE RACE(Ⅰコリント9章24~27節)をテーマに取り組んできた。施設の拡張などの長期ビジョンを作成してきたが…

大倉 この状況では、存続そのもの問われています。多くの方に応援をしていただき、献金も捧げられたが、固定費などかかり、現状は厳しい。それでも働きの継続のために祈ってくださる方がいる。神様を信頼しています。ソーシャルディスタンスをとりながら、少人数での部屋の使い方も工夫します。観光地で仕事をする「ワ―ケーション」もアピールできるのではないかと思います。お一人で来られ、祈りや仕事の作業で利用されるという使い方もありました。日常を離れた場所で過ごすことには価値があります。

目の前の山と川で神の自然感じる

―OBCは多摩川の渓谷に沿い、日の出山の斜面にある。

大倉 この山は人気漫画「鬼滅の刃」ゆかりの場所の一つとして注目を集め、登山者が増えています。天然記念物のニホンカモシカなどが現れることもあります。これも動画に収録したのでいつか紹介したいと思います。登山が大変でも目の前に多摩川があり、お子さん連れでも楽しめます。ここは新緑のシーズンに歩きたい場所ベスト10に選ばれた場所でもあります。山と川、神様に造られた自然を楽しむことができます。クライミングやリバーラフテイングなどを初心者でも楽しめる施設もあります。

祈りの課題

大倉 いつ元に戻るか分からない状況の中で、神様がどう導くか。願いとしては戻ってほしい。特に主催キャンプでは、夏に500人の参加がある。教会が祈り、期待し、子どもたちの信仰が強められ、イエス様を信じてほしいと願って送りだしてくださる。今年来られなかったキャンパーたちの信仰の励ましが、教会やそのほかの働き通してなされるように。

経済的なことは課題。きつい言葉だが「廃業」という可能性も正直あります。母体のセンド国際宣教団は、1年は続けようとしてくれている。クリスチャン・ミュージシャンとのかかわりがあり、動画配信をした。彼らの活躍できる応援も続けたい。

 

奥多摩バイブルシャレ―

HP  https://o-bc.net

献金のあて先は

郵便振替 00100-7-7262

ゆうちょ銀行 当座 〇一九(ゼロイチキユ)口座番号:0007262 名義:奥多摩バイブルシャレー
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