向日かおりさんコンサート 有観客と有料配信組み合わせで

「教会から提供されるものは無料」。そんな「常識」が変わりつつある。コロナ禍で人々が集まれなくなる中、有料のオンラインセミナーや配信ライブが開催されるようになってきた。大阪市のHOUSE OF GOSPELで11月23日に開かれたクリスチャンシンガー・向日かおりさんのコンサートも、有観客と有料配信を組み合わせた取り組みの一つである。
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「関西ゴスペルの聖地」と呼ばれるHOUSE OF GOSPELは、多くのクリスチャンミュージシャンたちが活動の拠点としてきたゴスペル音楽専門のライブスペース。国内外から多くのゲストを招き、コンサートが開かれてきた。しかしコロナ禍の自粛により、他のライブハウス同様、休止を余儀なくされている。

向日かおりさん(左から2人目)と共演者の人たち

昨年から運営責任を持つ古山夏子さん(Harlem Gospel Missionary代表)は、活動ができなくなった状況に大きな失望を感じたが、「クリスチャン音楽に携わる多くの人たち―シンガー、ミュージシャン、音響や照明のスタッフ―を何とか支えたい」という思いに突き動かされ、その状況を次へのステップにすべく、新たな挑戦に乗り出す。それがライブ配信用の機材調達を掲げたクラウドファンディングだった。今夏に行われた取り組みは、多くのファンの協力を得て、集まった資金は目標額を上回った。
新たに導入された機器を用いて、今秋には配信のみで活動再開。この日が、再開後初の有観客ライブとなった。
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コンサートは向日さんのオリジナル曲で始まり、スタンダードナンバーや唱歌、クリスマスキャロルなど、多彩なプログラムが展開。向日さんの透明感のある歌声に、サポートメンバーやゲストシンガーも彩りを添える。音響も照明も専用スペースならではのクオリティーで、聞き応え、見応えも十分。配信を意識して最初は硬さが見られた客席も、曲の世界に浸り、曲間のトークにほぐされるうちに、少しずつ柔らかさを取り戻していく。最後は予定されてた曲をすべて終えてもアンコールの拍手が鳴り止まず、ステージと客席が一緒に「きよしこの夜」を歌って締めくくった。
再開したとは言え、客席数は大幅に減らさざるをえず、まだまだ本格稼働にはほど遠い。しかし、そこを配信で補うことで、地球の裏側までも届けていくことができる。クリスチャン音楽、クリスチャン文化のさらなる可能性を感じさせられたライブだった。
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このコンサートの有料配信は、12月4日午後8時から7日午後12時まで。詳しくはHOUSE OF GOSPEL URL https://www.hog2020.com/まで。