牧師の会声明「安全保障関連法案の強行採決をしないでください」
「安全保障関連法案の強行採決をしないでください」
2015年7月10日
特定秘密保護法に反対する牧師の会 共同代表 朝岡勝 安海和宣自民党、公明党の国会議員のみなさん
私たち「特定秘密保護法に反対する牧師の会」は、一昨年12月の特定秘密保護法成立、昨年7月の集団的自衛権行使容認の閣議決定以来、いずれ出てくるであろう安全保障法制について、立憲主義の否定、現行憲法の否定、平和を愛する主権者たる国民の声の否定であるとの意見を表明し続けてまいりました。
その後、この度の法案の閣議決定に際しても、5月14日に抗議声明を発表し、国会に法案が提出されてからは、慎重審議と廃案を求めて、衆院特別委員会所属の45名の国会議員の方々に要請を行ってまいりました。そして今日まで衆議院特別委員会での審議が行われていますが、審議過程を通してますます同関連法案の違憲性は明らかになり、しかもそれらの疑問点に正面から答えようとしない首相、防衛相、外務相の不誠実な態度は目に余るものがあります。
毎日新聞(7/6付)の世論調査によれば 安全保障関連法案について国民への説明を不十分とする回答が81%、会期延長した今国会で安保法案を成立させる方針に反対するとの回答が61%に上っており、これは他社の世論調査ともほぼ一致しています。
また朝日新聞(7/9付)によれば、全国都道府県331の地方議会が同法案審議に対する意見書を可決し、そのうち141議会が法制法案に反対、181議会が慎重審議を求めています。
さらに東京新聞(7/9付)が全国の大学で憲法を教える学者328人にアンケートを行ったところによると、回答者204名のうち、同法案を違憲とした学者が184名、90%以上に上ったとあります。
そのほかにも「安全保障関連法案に反対する学者の会」の呼びかけに、7月10日段階で学者・研究者9,175名、市民15,716名が賛同の意を表し、全国各地で学生や若者たちも安保法制反対のデモを行うなど、私たち国民の圧倒的多数が、同法案に反対、あるいは慎重審議を求めていることは明らかです。
にもかかわらず、政府与党はこの数日来、「審議時間が80時間を越えた」、「ほぼ質疑は出尽くした」、「いつまでも続けるわけにはいかない」、「だらだら続けず決めるところは決める」などとして立法府である国会を、軽視し、当事者である自民党国会対策委員長自らが「法案のすべてを理解するのは不可能」との発言をするほどの異常な事態となっています。また折しも自民党の若手議員たちが言論に圧力を掛けることを公言するような出来事もあり、私たちは現政権の傲り高ぶりと立憲主義、議会制民主主義への理解のあまりの乏しさに、これまでにない危機感を覚えています。憲法99条「天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ」に基づき、付託された責任を自覚していただきたいと思います。
このような中で、来週15日の衆院特別委員会での強行採決の声が聞こえ始めています。国民の8割が不安視し、6割が反対する同法案を採決することは到底ゆるされるものではありません。民意に反して強行採決をすることには、次の選挙や御党の今後に対して、大きなリスクがあるということを申し添えます。今のような状態で委員会採決、衆議院採決に突き進むようなことがないよう、立憲主義・議会制民主主義にのっとった理性ある対応を与党の皆さんに求めます。
以上