福音は今必要 私の3.11~10年目の証し⑧

「あなたは東日本大震災発生時、どこにいて、何を思いましたか…」。東日本大震災10年を迎える2021年、震災の体験や記憶の継承をテーマに、3組4人にインタビューをした8回目。【高橋良知】

【東日本大震災振り返りシート】
○地震発生時、どこにいて、何を思いましたか
○揺れが収まってから、まず何を思い、どのような行動をしましたか
○教会の人々や周囲の状況、被害報道を知り、どのように思いましたか
○どのように避難し、過ごしましたか
○どのように救援に導かれ、働きを続けましたか
○どのような祈りを思い出しますか
○どのような聖書の言葉を思い出しますか
○どのように礼拝をしましたか

▷震災について何を覚えておきたいですか
▷これからの世代に伝えたいことは何ですか

◇  ◆  ◇
「子どもたちがとにかく元気」。岩手県大船渡市を拠点に活動したジェント・マイカさん(JECA・つがる福音キリスト教会牧師)は、支援で出会った人々の思い出を話す。
仮設住宅に住み、土曜日になると、朝から子どもたちが来て遊んだ。子どもたちは、建物のちょっとした揺れにも敏感だった。「すぐそぱに寄ってきて震えている。普段の会話の中で被災した時の話がポロっと出ることもある。任期の最後の方では、1、2回集会ができ、つながったのが良かった。またどこかで神様が彼らの心を開いて福音が伝わっていくように願います」
行政から派遣された支援員たちのことも思いやる。日頃よく会話をしたのが彼らだったからだ。「教会とは何か」、「自分たちはどうしたいいのだろう」といった、深い質問、悩みを語り合うこともあった。「残念なのは仮設住宅の閉所とともに支援員は解散し、バラバラになったこと。当時の人たちとまた話ができたらなと思います」
「支援を通して何よりも私自身がものすごく変わった」と言う。「神学校を卒業したが、牧会する気持ちはなかった。幼少から様々な教会に連れられたが、牧師は難しい会議をしているイメージが強かった」と話す。
だが3・11いわて教会ネットワークでの、近藤愛哉さん(保守バプ・盛岡聖書バプテスト教会牧師)、大塚史明さん(同盟基督・盛岡みなみ教会牧師)との出会いに支えられた。「牧師の難しさ、大変さも分かち合ってもらい、その反面楽しさ、うれしさ、恵みも一緒に経験することができた」と感謝する。牧会者になるかどうか迷ったときも祈ってもらい、「御言葉からの明確な召しがあるように」と、2人からそれぞれ教えられた。
「神学校卒業前に招聘をいただいたら、きっと断っていた。でも岩手の牧会者たちとの出会いを通して、今の働きに携わらせていただいた。大変なことはあるが、最終的にすべて神様に委ね、平安が与えられ、今も牧会を続けている」と振り返る。「支援活動の大工も、もともと得意でも、やりたいことでもなかった。やりたくなくても、それが誰かのため、神様のために用いられるならば、自我を捨てて、できる最善をつくす。今でも苦手なことはある。でも苦手だからやらないということではない。結果は分からなくても、神様が用いてくれる。ゆだね、忠実に働きを果たすことが大事だと学びました」
次世代に伝えたいことについてこう語った。「とにかく福音は今必要。様々な面でまだ傷ついて孤独、悲しさを感じている人はいると思う。支援活動でも、出会ったときは明るく見えても、実は孤独を抱える人だったと分かったこともある。やはり福音にしか、本当の望みはないと思った。福音が伝わるためには、寄り添って福音を語り、体現する人が必要だ。本当に神様にある喜び、平安を伝えられないといけない」
さらに福音伝道の必要性についてこう話す。「宣教の統計で『日本に福音が必要だ』と知っていた。だが被災地では、本当に福音が必要だと思う人たちと間近に出会った。被災地で出会った人々が本当に福音にあずかるように願っている。支援で寄り添う働きは、ささいなことしかできない。しかし私以上のことを神の福音が補ってくれる。周りを見れば、被災地だけではなく、様々な場所で、必要を覚えている人がいる。今、私も津軽でやっていることは被災地にいたときと同じ働きなのだと思う。英会話、カフェ、牧会と方法は変わったが、すべて神様の愛と福音を伝えることなのです」
(次回は新たな証し者)