【沖縄だより】「みことばはともしび」掲げて63年に幕 沖縄キリスト教書店新たなステップへ

沖縄のメディア宣教の草分けである沖縄キリスト教書店(沖縄県中頭郡西原町)が、2月20日に63年にわたる営業を終えた。沖縄バプテスト連盟の事業として1958年に開始。文書伝道の枠を広げたメディア宣教を目指し、アメリカ統治下の那覇市に「みことばはともしび」の信仰を掲げた。
貧しい時代に本土から本を調達し、連盟の牧師が協力して運営してきた。ここなら希少なキリスト教書が手に入ると、地元のクリスチャンらの喜びとなった。現在連盟理事長を務める渡真利彦文牧師(胡屋バプテスト教会)は「書店はバプテストの群れの協力伝道の一つ。バプテストは自主独立を尊重しますが、お互い強い絆で協力し合うのも特徴です」と語る。
やがてコザ市、現在の沖縄市に移転、さらに浦添市に移った。国道沿いに建った「バプテストビル」内に開店。連盟事務所、外国人の集う英語礼拝のセントラル教会、日本語の牧港中央教会、牧港中央幼稚園の計5団体が入ったビルは多くの人が出入りし、書店は超教派に用いられる交流の場になった。

最近(中央)と初期の頃の沖縄キリスト教書店の様子

当時、バプテストビルで日本語教会を牧会していた渡真利牧師は、沖縄キリスト教書店主催でビル・ウィルソン氏(貧しい子どもたちにキリストを伝えるメトロ・ワールド・チャイルド創設者)を招いて市民会館で講演会を開催したり、ゴスペルシンガーの小坂忠、高叡華夫妻による賛美セミナーを開いて、その内容を書店独自で書籍化したりと、活気ある時代を体験した一人だ。「バプテストビルでは、書店を中心にクリスチャンビレッジとも言えるコミュニティーが作られ、とても良い環境でした。今はネットでいくらでも本が手に入る時代。しかし、直に本を手に取って読め、選べる楽しさは、書店ならではです。そこに行くと久しぶりに誰かに会える喜びがありました」
2016年1月に沖縄キリスト教学院大学内に移転。2月の閉店はコロナ禍の影響も否めないが、多くの書店の例に漏れず厳しい経営が続いていた。連盟にとって苦渋の決断で、多くの顧客から惜しむ声が届いた。
沖縄バプテスト連盟の運営は終えたが、メディア宣教のともしびを消したわけではない。渡真利牧師は「連盟では新たなステップに踏み出すところです」と、バトンを渡す準備に入ったと話した。