【いのちのことば社物語4】文書伝道からメディア伝道へ 音楽・映像・用品・イベントに発展 福音の拡大目指し連携を広げる
文書伝道からメディア伝道へ 音楽・映像・用品・イベントに発展 福音の拡大目指し連携を広げる
文書伝道団体として開始したいのちのことば社は、宣教師を通してのつながりによって、初期の頃から国際的なキリスト教諸団体と連携し働きを進めてきた。日本を起点に世界に広がったトラクト伝道のEHC(全国家庭文書伝道協会=6月14日号特集参照)、映画伝道のワールド・ワイド映画(ビリー・グラハム伝道協会)、聖書を日常語で広く普及させるリビングバイブルなどである。
やがて、それらの働きはいのちのことば社に託されて働きの一部となっていく。ワールドワイド映画とは協力関係にあったが1987年正式にライフ企画部に置かれた。それに伴い、これまで文書伝道を使命としてきた職場に、映画伝道に情熱を燃やすスタッフを同労者として迎えることになる。このことは後に、映像と書籍やトラクトを連携させるメディアミックスを駆使した新しい分野の可能性を開くことになる。
従来の映画伝道は免許が必要な16ミリ映写機とフィルムを持って各地の教会や集会所を会場に映画伝道会を開催するというスタイルを取ってきたが、この頃からビデオの時代に入っていく。その時代の風をいち早く取り入れ、83年にはルカの福音書をビデオソフトにした「ニューメディアバイブル」全15巻を発売。当時20万円を超える高額商品だったが、視覚教材を使った伝道と教育の新しい試みは教会に受け入れられ、広く活用された。
映画伝道で活躍したタイトルが次々とビデオ化されるとともに、最初からビデオで制作される作品も増えていった。戦後、宣教師による映画伝道から始まり、初期にはまだ価格の高かったビデオを伝道用に貸し出す働きをしていた伝道団体クリスチャンAVセンターも89年、宣教師の帰国に伴っていのちのことば社に合流した。
クリスチャンAVセンターから引き継いだ貸し出し用ビデオは、お茶の水クリスチャンセンター内に90年に開設した「サービスセンター(後に「伝道用品センター」)で扱った(〜96年)。このセンターは従来のキリスト教書店の枠を越え、オーディオビジュアルや各種伝道用品の品ぞろえを充実させ、伝道の多用な可能性を提案した。
それに先立つ87年には教会用品部(後のシーアール企画、現オリーブス)を新設。壁掛けや置物などの装飾品、絵はがきや便せんなどの文具、ネックレスやネクタイなどの装身具、タオルやTシャツなどの布製品にまで聖書のみことばを盛り込み、「無言伝道」と称して、アイデアを凝らし伝道の可能性を広げていった。
そのような経緯を通して、文書にとどまらない生活のあらゆる面で神のみことばの種まきをしていこうという、現在のいのちのことば社の社風が培われていったといえよう。
プレゼントにも使いやすい用品類は、食品、タオルや石けん、入浴剤のような日用品など、アイデア次第で多用な分野へ広がっていく。お中元やお歳暮など日本の習慣に合わせてクリスチャンが関わる贈答品の製造元と協力し、その中に「God bless you!」とさりげないメッセージを記したミニCD付きトラクトを同梱する贈答伝道も提案した。
「God blessyou!」は、ライフ企画(現ライフ・クリエイション)からリリースしたアーティスト岩渕まことさんの同名の楽曲とのコラボである。
現在オリーブスでは毎年のカレンダー・手帳をはじめ幼稚園の出席帳「おはようぶっく」やクリスマスグッズ、ステーショナリー、食器、インテリア、聖書カバー、イースター用品等々数多くのクリスチャングッズを発売している。クリスチャンの証しのため、伝道のため、信仰の養いのために用いられることを目指している。(6面参照)
2000年代からはクリスマスグッズの海外工場での生産・輸入に着手し、それまで以上にバラエティに富んだクリスマスグッズの展開が可能となり、特にミッション系幼稚園に用いられている。クリスマスプレゼントや卒園記念品など、日本社会に広く浸透している贈答習慣も、福音拡大の機会となっている。
オーディオ・ビジュアルの分野は83年に発足したライフ企画(現ライフ・クリエイション)が担ってきた。クリスチャンアーティストたちとのアルバム制作、コンサート活動が活発に行われ、それに併せてアーティストたちの証しも出版するなど、一分野にとどまらず多用なメディアを活用しながら福音伝道にチャレンジしている。
また、キリスト教や聖書に基づいた映画の劇場公開への協力、社外のイベントへの協力を通しても伝道の使命を遂行してきた。一般メディアでも盛んに取り上げられて多くの人々に感動を与え大きな影響を与えてきた、星野富弘花の詩画展やレーナ・マリア来日コンサートなどにも関わり、関連書籍やCDなどの製作・販売と相まって、福音の証しを広く一般社会にも届けることができた。
さらに、1956年から94年まで4次におよぶビリー・グラハム国際大会などへの協力、米国の宣教団体CBNと共同で実現した聖書を題材とする「アニメ親子劇場」のテレビ放映(5面参照)、一般書店で広くリビングバイブルを頒布する『明日へのバイブル』など、日本での大規模伝道プロジェクトのパートナーとしても、いのちのことば社は役割を担ってきた。
メディアとは遠い業態とのコラボもある。88年には「軽井沢クリスチャンセンター」が宣教団体TEAMからゆだねられた。「恵みシャレー軽井沢」と改称しチャペルを増設。クリスチャンやキリスト教主義学校のリトリートや伝道イベントに用いられたほか、閑散期には各種セミナーを企画するなどして、出版物の著者と読者の出会いの場ともなった。(つづく)
毎週火曜、土曜に公開
全8回一覧→ 70周年記念「いのちのことば社物語」全8回を再掲載
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1950年に創業した、文書伝道グループいのちのことば社は、昨年70周年を迎えました。コロナ禍と重なり、公けの70周年記念会などは延期となりましたが、クリスチャン新聞では、昨年8回にわたり、黎明期から現在までの歩みを振り返る「いのちのことば社物語」を掲載しました。
それは、一つの文書伝道団体の歩みではありますが、書籍、雑誌、グッズ、事業の変遷は戦後の聖書信仰を中心とした教会の歩みの一端をかいま見させるものとなります。
今回改めて、オンラインで8回の連載を掲載します。