「愛には限界はない」。それをどこまで試せるか。読売新聞連載で話題になった教会の壮絶な歩みが『愛をばらまけ 大阪・西成、けったいな牧師とその信徒たち』(上村真也著、筑摩書房、千540円税込、四六判)にまとめられた。

野宿者のために奉仕したい一心で神学校に入学した西田好子牧師。その思いの強さと強烈な性格で、最初の赴任地では空回りに終わった。活路を見出したのは身一つで乗り込んだ大阪府の釜ヶ崎だった。依存症、障がい、難病、犯罪歴を抱える人々に体当たりで寄り添い続け、人々は変わる。一方で、以前の生活に逆戻りしたり、失踪したりする人も。教会が分裂の危機を迎えたり、悩みは尽きず、牧師もついに弱音を吐く。著者の丹念な取材で、牧師を始めそれぞれの人物の心のひだまで迫る。著者自身の来歴も明らかにされ、最後にこう言う。「私は神を信じてはいない。愛は信じていいと思うようになった…」


釜ヶ崎と並ぶ「三大ドヤ街」の一つ、横浜市寿町に密着したルポ『寿町のひとびと』(山田清機著、朝日新聞出版、千980円税込、四六判)では、元ミュージシャン、元医者、元ヤンキー、「文学者」など特徴ある人々を取材する。「貧困と差別」の二語でひとくくりできない、様々な人生、生き方、感じ方が明かになる。キリスト教NPOも登場。様々な事業を展開したものの壁に当たる。「キリストだったら諦めないでしょうが…」の言葉は重い。寿町を二分した支援組織同士の争いに、教会が和解の働きをもたらした歴史もあった。


キリスト者は、聖書の教えに従って、葛藤ある生活をどう生きるか。シリーズ全五巻最終巻の『信仰生活ガイド 信じる生き方』(増田琴編、日本キリスト教団出版局、千430円税込、四六判)は多様な著者が礼拝に始まり、「悲しみ」「喜び」「平和」「環境」にまで実践とともに紹介。単純な答えは出さず、聖書に向き合い、考える姿勢を勧める。


今年もイースターを迎える。キリストの復活に焦点を当てたイースター あたらしい いのち』(加藤潤子絵・文、いのちのことば社、千320円税込、180×180mm)は白を背景にしつつ、彩り豊かなイラストで、イエスの復活を目撃した人々の思いを描いていく。

レビュー

 

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