インド各州で依然迫害深刻 独自条例適用も 私的な集まりで拘束が横行

ヒンドゥー教徒が多数を占めるインドでは、宗教的過激派によるクリスチャンへの迫害に加え、州政府レベルでの宗教的少数者に対する抑圧も起きている。インド中央部を占める広大なマディヤ・プラデーシュ州では、1月に新しく「宗教の自由条例」が発布され、違反者には過料や収監をともなうこの条例により、すでに多くのクリスチャンが被害を受け、他の州でも迫害事例が続く。以下インド福音同盟(EFI)の宗教の自由委員会(RLC)からの報告。

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インドのキリスト教徒は引き続き反対、嫌がらせ、暴力に直面している。2021年1月には29件、2月には24件の事件を記録した。
1月以降、マディヤ・プラデーシュ州では、新たに公布された宗教の自由条例に基づいて、キリスト教徒に対する訴追が数多く起こされ、2月には7件が州により集計されている。1月に州政府は、発効後1か月以内に23件の事件が条例に基づいて記録されたことを認めた。英字新聞ヒンドゥスタンタイムズは2月11日、条例が施行されて以来28人が条例の規定に基づいてそのコミュニティーとともにリストに載せられ、そのほとんどがクリスチャンであり、その数は告発された総数の67%を占める、と報告した。

ほぼすべての事件で被告人は、彼らに対する告発はばかげたものだと主張している。たとえば、1月27日にバラガート地区で逮捕された2人の牧師を含む3人が、新条例の第3条と第5条に基づいて告訴され、翌日には起訴された。

しかし、彼らは、警察が右翼グループのメンバーとともに、チャタルシン・カトレの家で開催された私的な集まりを妨害したのだと、主張している。それは、数日後に大学へ進学するカトレの娘の送別会で、そこにいた牧師たちはそのお祝いに呼ばれた単なるゲストだったと。会が中断された後、暴徒と警官はカトレと牧師に加えて未成年者を含む2人を、尋問を口実に警察署に連れて行き、残りの家族は右翼グループのメンバーと警官によって数時間自宅軟禁された。カトレと牧師たちは尋問のためとして、一晩中警察署に拘留される一方、未成年者ともう一人の男は釈放された。拘留された3人はその後、新条例の条項に基づいて起訴された。

告訴が虚偽であると主張されている別の事例は、カジュラオで起こった。そこでは、修道女でセイクレッド・ハート・コンベント・スクールの校長であるシスター・バギャが、学校に不満を持つ従業員ルビー・シンの2月19日に改宗を迫られたとする告発により、宗教の自由条例違反として起訴された。学校当局は、この告発は誤りであり、シンが仕事から外されたために行ったものだと主張している。伝えられるところによると、学校はシンからの保護をその時点で警察に求めており、それはシンがシスター・バギャに対して行った改宗の告発に先立つ2月17日だったという。

3月2日、マディヤ・プラデーシュ州政府は、この条例に代わり、「マディヤ・プラデーシュ州信教の自由法案2021」を議会に提出した。
マディヤ・プラデーシュ州に続きマハラシュトラ州では、2月に5件の事件が記録され、続いてカルナータカ州が3件、ウッタル・プラデーシュ州、チャッティースガル州、アッサム州がそれぞれ2件、アンドラ・プラデーシュ州、ビハール州、タミルナードゥ州でそれぞれ1件の事件が記録された。

今月も、礼拝の中断、身体的暴力、社会的排除、当局による嫌がらせの事件が続いた。
一方政府は、キリスト教徒とイスラム教徒のダリットに対する社会的優遇措置を拒否する立場を、2月11日確認した。ヒンズー教徒、シーク教徒、仏教徒と同様の優遇措置を、キリスト教徒とイスラム教徒のダリットは長い間要求してきたが、対立する政党のUPAもNDAも、信仰に基づく優遇措置拒否という、この重大な不正を是正する政治的意思を示していない。

私たちは、首相、内務大臣、および各州政府の首長に、強く要請する。少数派のキリスト教コミュニティーの安全を確保するように。平和または共同体の調和を乱し、キリスト教コミュニティーと他の宗教的少数派の間に恐怖感を生み出そうと図るすべての人に、厳格に対処するように。