実際生活の指針 メディア環境を変えながら 多様な生き方、ステージへ対応

50th 生活

初期の紙面では、生活、家庭、子育て、エッセイ、自伝、キリスト教入門、読者投稿欄といった生活の連載や特集を豊富に掲載していた。

  69年には、クリスチャン新聞教育版を本紙と並行して特設。その後、日曜学校版、小学生版(75年)などをへて、「児童版・らみい」(76年)を発行。2002年からはマンガを主体とした「月刊らみい」となっている。

 69年は、大学紛争が激化。青少年の問題にキリスト者として応答した。本紙はその年の20大ニューストップを「若者の教会造反拡大」とした。警察が突入した東大安田講堂の内部ルポを掲載。またクリスチャンの東大生、OBを集めた座談会も開いた。自我や生きる目的、青少年論についての寄稿、インタビューも続いた。ほかにも非行、ヒッピー、フーテン、新宿広場集会、喫茶店伝道など青少年の心の課題をテーマに企画していた。

 生活的、入門的な内容のクリスチャン新聞福音版は74年に発刊。第1号では、当時話題になっていたノストラダムス預言、世紀末的な危機感をあつかった。86年「教会を去った日 教会へ帰った日」を関西宣教リサーチセンターとの連携で連載。

 読者のメディア意識を高める取り組みも使命としていた。71年には、本紙と百万人の福音が後援して、「クリスチャン文章教室」を開講。家庭、教会、社会をつなぐ地域宣教への奉仕、クリスチャンジャーナリズムの在り方、福音主義信仰の土台による開発、育成を目標にした。5周年の72年には本紙主催で「宣教文化ゼミ」を開講。文書伝道、教会宣教、リーダーシップについて共同考察した。10周年を経た78年からは、記念事業として「あかし文学賞」を公募。15周年の82年には写真大賞、20周年の87年には漫画大賞を設けた。第1回漫画大賞受賞作は現在連載中の「ルッちゃん」だ。

 84年の新年号では「ニューメディアと教会」のテーマでコンピューター時代の教会の在り方を特集。放送伝道特集にも取り組んできた。2004年には判型をタブロイド化し、紙面のほかホームページでの速報、電子版、フェイスブックでの発信を展開している。

 2000年代には、「クリスチャンライフ」「教会教育」という面のほか、「ビジネス」面を特設。クリスチャンビジネスマンの証しと連載のスタイルは現在の「仕事と信仰」面に継承されている。

 近年見えていることは、福祉への関心の高まりだ。キリスト教福祉に関するフォーラム、セミナーが盛んになった。高齢化の現実と共に、ローザンヌ世界宣教会議での包括的な福音の再確認、東日本大震災での震災支援の経験が、教会による地域での奉仕活動を後押しした。本紙では井上貴詞氏(東京基督教大学准教授)による教会と福祉の連載を掲載中だ。

災害による再献身、協力の広がり
50th 災害

初期の報道でも、豪雨など、その都度の災害報道がなされている。目立ったのは、1968年の十勝沖地震だ。被害を受けた教会も多数だったが、「再献身に燃える被災地の教会」「教会の扉は大きく開かれた」といった見出しの記事は、教会が救援に従事した様子を伝える。数週にわたり経過を伝えた。現地牧師らの座談会では、「信仰が支えになった」「信仰の内実を問われた」、また支援について、「伝道の門戸が開かれた」と言う一方、新興宗教に注意を払い「弱みにつけこんで信仰を押しつけてはいけない」とも述べていた。直後の自教会のケアとともに、地域の教会と超教派で連携した救援活動への展開もあった。

 95年の阪神淡路大震災は教会も密集する都市部での発生であり広範な影響を与えた。教会関係被害も多数であり、何週にもわたり報道が続いた。現地取材では、当時普及したばかりの携帯電話を駆使して報道したという。教会復興支援連絡協議会が形成された。

初期対応、ネットワーク、組織つくり、長期化した場合の心のケアの経験は2011年の東日本大震災での救援に生かされ、関西地域の教会が活躍した。阪神淡路大震災については、連載や定期的な特集を組み、教訓と課題を追った。2000年三宅島噴火、07年新潟県中越地震でも現地取材を敢行。スマトラ沖地震、ハイチ地震、台風、洪水被害など、キリスト教国際NGOなどの協力で報道してきた。

 東日本大震災発生後、本紙はホームページでの速報を翌々日から開始。随時に被害、救援情報を報道した。10年ころから若者を中心に普及していたSNS、特にフェイスブックにより、被災者や救援者が直接状況を随時写真付きで報告した。クリスチャンのリーダーらは、フェイスブック上のページ機能で、情報を随時に共有できる体制を構築した。

教会、団体、企業が協力して全国規模での後方支援の窓口・連絡機関、また現地の市、広域レベル、県レベルでの窓口・連絡機関が形成された。これらの経験は、後の様々な水害や、熊本地震でも生かされ、諸教会・団体による迅速な情報共有と整理、ネットワーク形成がされた。本紙でもSNS、ホームページからの情報収集、電話取材に加え、現地ルポ、連載、特集で被災地の動向と状況を伝えた。

 地域教会の超教派のむすびつきの重要性が認識され、防災ネットワークも形成。本紙ではその動きを連載で追っている。

逸脱と偏向の異端・カルトを警告
50th 異端

60年代後半では、特に「統一教会が勢いを増している」という危惧の寄稿、ニュースがあった。72年には、「背教集団〈統一教会の実態を探る〉」を連載した。

 80年の連載「異端と教会」では、エホバの証人、統一協会を中心に、それらの歴史、聖書からの逸脱、実際的な問題を指摘してきた。86年(※第一部は85年開始)には、新興宗教の本部を訪ねる「神々の精神風土」、異端団体から脱会した人々の体験談「異端からの回心」などを連載してきた。

 95年、オウム真理教による地下鉄サリン事件が起こると、社会は宗教への警戒心を高めた。2000年代もカルト、異端の特集が続いたが、02年には教会内の問題として連載「『信仰』という名の虐待」「『教会がカルト化』するとき」を掲載した。

 牧師の不祥事や韓国系異端が絡んだ事件が一般メディアで取り上げられることもある。キリスト教堺としても正確な発信を重視した。新たな手法での異端、カルト団体の可能性もありうる。様々な情報が錯綜する中で、丁寧な情報の吟味が必要となっている。【高橋良知

50周年記念関連記事リストはこちら→ クリスチャン新聞50周年記念号記事を再掲載

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クリスチャン新聞は、1967年5月にそれまで月刊で発行されていた『福音ジャーナル』を母体に創刊し、日曜礼拝を中心とするクリスチャンの生活サイクルに合わせ、同年11月からは週刊で発行してきました。

50周年を迎えた2017年には、4回の特集、2回の記念集会を実施しました。改めてこの50余年の報道の歴史を通して、戦後の諸教会の宣教の一端をご覧いただければ幸いです。

※毎週火曜、土曜に本オンラインで掲載します

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