キリスト教音楽の各ジャンルについて、楽曲の構造、技法などを総合的に研究した書籍が相次いだ。


西洋音楽のルーツ、グレゴリオ聖歌は古くて新しい。1970年代に新たな解釈法が見つかり、それに基づく聖歌集は2011、18年に刊行されたばかりだ。『言葉を歌う グレゴリオ聖歌セミオロジーとリズム解釈』(佐々木悠著、教文館、3千300円税込、A5判)はその解釈法「セミオロジー」の全貌を明らかにする。中世、近世、近代の記譜法と、セミオロジー誕生から今日までの研究の変遷を語り、その理論、解釈を紹介する。グレゴリオ聖歌は言葉を歌うものであり、ラテン語の音声学、神学解釈がかかわっていた。


七五調から八六調へ。新体詩にも影響を与えた明治期のリズムがある。『日本における讃美歌 Hymnology in Japan』(手代木俊一著、日本キリスト教団出版局、7千150円税込、A5判)は、原詩と翻訳の様々なバリエーションを比較し、賛美歌・聖歌が日本語になじむ変遷を明らかにする。勝海舟の試訳、宣教師たちの活動、批評、島崎藤村や樋口一葉への影響を語った。後半の小論文集では讃美歌史家たちの歩み、琉球語賛美歌史、「たんたんたぬき」の秘話、ジャズとの関係などを紹介。


黒人霊歌の古典について音楽学的に研究した『黒人霊歌の即興性 Slave Songs of the United States (1867)を基に』(國友淑弘著、教文館、4千180円税込、A5判)は、従来の民俗学・政治学的な研究を踏まえつつ、各楽曲の実際まで分析する。著者はミュージカル演出、ゴスペル指導者としても活躍する。実演者ならではの視点で、「即興性」に注目する。リズム構造、旋律、和声、呼応と反復の分析から即興的要素を明らかにした。その即興性には話し言葉と共感といった特徴があり、ムーディーやキング牧師の説教との関連性が見いだされる。

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