【関西だより】ハープと歌で病床に祈り届ける 音楽による看取りのケア

関西セミナーハウス活動センターの2021年度修学院フォーラム「いのち」第1回講演が4月10日、京都市左京区の会場とオンラインで同時開催された。テーマはアメリカ福音ルーテル教会宣教師のキャロル・サックさんによる「音楽(ハープ)による看取りのケア」。緩和医学の方法の一つである音楽死生学で行われている「パストラル・ハープ」の実践について学んだ。進行と随時通訳は関西学院大学の山本俊正さんが務めた。サックさんは104歳になるという母の入居先の米・ミネソタの施設から講義した=写真下=。
サックさんは音楽死生学に独自の要素を加えて発展させた研修講座「リラ・プレカリア(祈りのたて琴)」を立ち上げ、終末期にある人や苦難の中にある人にハープと歌による祈りを届けるボランティアを日本国内で養成してきた。現在講座は終了したが、修了生たちは全国各地の病院やホスピス、高齢者施設、災害被災地で活動している。「音楽死生学の歴史は古く、中世のフランス、ベネディクト会の修道院の診療所では、死にゆく人々を修道士や修道女らがキリストに対するように手厚く看護していた。そして、美しい音楽で死にゆく人の心を癒やした。修道士たちは死の床にある人を最期まで一人にせず、天国に導かれるまでその人のために歌い続けた。死は“移行”ということばで表された。最後の息は美しい世界への第一歩だから、敬意を込めて看護したのです」
「リラ・プレカリア」は、この業を踏襲している。ハープと歌を通し、身体、感情、心、魂、霊性が平安に満たされる場を提供する。「そして、真心込めて患者に伝えます。あなたは一人ではない。あなたは大事な存在で愛されている。音楽が大いなる愛で包みますように、と」
患者に対した時、まずこの人にはどんな音楽が合うかを、、、、、

(あえてなじみのある曲は使わない、とサックさんは言います。2021年5月2日号掲載記事