コロナの時代に聖書を読む《後編》 明野キリスト教会牧師 大頭眞一

 深呼吸して、祈って、さがせ

まず、前回の復習です。
①主イエスは、「この人が罪を犯したのでもなく、両親でもありません。この人に神のわざが現れるためです」 と言いました。この人の目が見えるようにして、神のわざを現したのです。
②コロナの中でも、神さまはわざを現します。それは、世界が愛と配慮と責任をもってコロナに立ち向かい、それを通して、世界の破れをつくろうことです。クリスチャンであることによって、私たちはよりよく役割を果たすことができます。
では、コロナの中で、どこから世界の破れをつくろうことを始めればよいでしょうか?

①深呼吸する
主イエスは「また、戦争や戦争のうわさを聞くことになりますが、気をつけて、うろたえないようにしなさい。そういうことは必ず起こりますが、まだ終わりではありません」(マタイ24・6)と言いました。うろたえてはなりません。神さまはコロナの中ですでにわざを始めています。私たちに愛の視線を注いでいます。

「同じように御霊も、弱い私たちを助けてくださいます。私たちは、何をどう祈ったらよいか分からないのですが、御霊ご自身が、ことばにならないうめきをもって、とりなしてくださるのです」(ローマ8・26)とあります。深呼吸して落ち着きなさい。神さまがコロナを嘆きうめいてくださっていることを知りなさい。だれかを責める前に、コロナで苦しむ世界のために嘆きなさい。世界の人びとといっしょに、嘆きなさい。

②祈る
祈る前に、じゅうぶんに嘆くことがたいせつです。いきなり祈り始めるなら私たちは、神さまのおこころを知らないで祈ることになります。「あの人を罰してください」「あの国を罰してください」「今、この瞬間にコロナやすべての病気をなくしてください」|これらは神さまの嘆きがわからない人の祈りです。神さまの心がわからない人の祈りです。

神さまの心を知る人は、主イエスのように「みこころがなりますように」と祈ります。神さまが、今、しようとしておられることが実現することを祈るのです。神さまがなさることがいちばん良いことだからです。祈りは短く信仰をもって祈ります。なぜなら祈りの答えは、私たちが神さまと共に働き始めるときに与えられるからです。祈りの答えが得られるまで、じっとしていてはいけません。祈りつつ働くのです。働きつつ祈るのです。

良いことのための計らい

③さがす
祈りつつ働くもうひとつの理由は、神さまはすでにわざを始めているからです。よくまわりを見てください。あちこちに神さまのわざが始まっています。今までは他人に無関心だった人びとが愛の行いに励んでいます。人びとと直接会えないのは悲しいですが、ズームなどのオンライン技術が広まって、遠くにいる人びとにも福音を語ることができるようになりました。福音は、コロナの中でも前進しているのです。

「神を愛する人たち、すなわち、神のご計画にしたがって召された人たちのためには、すべてのことがともに働いて益となることを、私たちは知っています。」(ローマ8・28)

神さまが始めているわざをさがしなさい。そしてそのわざに加わりなさい。神さまはコロナさえも用いることができます。そこから良きことを生み出すことができるのです。

「あなたがたは私に悪を謀りましたが、神はそれを、良いことのための計らいとしてくださいました。それは今日のように、多くの人が生かされるためだったのです。」(創世記50・20)

エジプトに売られたヨセフが、兄たちに言ったことばです。神さまは悪からも善をとりだすことができます。すばらしい善をとりだすことができるのです。図を見てください。

兄たちがヨセフをエジプトに売らなければ、ヨセフの人生はAからBへと進んでいったでしょう。ところが兄たちの悪によって、ヨセフはCというどん底を経験しました。けれども神さまはそこからDへと善をとりだしました。兄たちが悪を行わなかった場合のBよりもはるかに良いことをしたのです。これが、やがて出エジプト、ついには主イエスの十字架と復活につながっていきます。

コロナがなければ、世界はAからBへと進んでいったでしょうが、コロナによってCというどん底を経験しています。けれども、神さまはここから、かえって良いことをすることができます。Dをつくりだすことができるのです。一番のどん底は主イエスの十字架、神さまはそこから救いと復活のいのちという最高の良きものをとりだして、私たちに与えてくださいました。だから私たちは、神さまと共に働くことができます。コロナの中で、コロナをも用いて世界の破れをつくろってくださる神さまを信頼しましょう。