2015年7月16日
安全保障関連法案の廃案を求めます。集団的自衛権行使容認の根拠となる安全保障関連法案が昨日7月15日衆議院特別委員会で強行採決され、本日午後衆議院本会議で可決され、参議院に送られることとなりました。世論調査で国民の大半が反対し、多くの憲法学者が憲法違反として反対している安全保障関連法案が政府によって憲法・民意の反対を押し切って強行に成立しようとしています。安保法制公聴会でも憲法学者は憲法違反と判断しています。この法案を強行に制定させることは、戦後培ってきた日本の民主主義、立憲主義、国民主権の存立の崩壊と言わざるを得ません。

特定秘密保護法・集団的自衛権行使容認決議に続き、明らかな憲法違反となる安全保障関連法案を国民の理解の無いまま制定し、理解は後からしていただくという考えは、第二次世界大戦を歩んだ日本政府の辿った道を彷彿させます。戦争容認法案が成立すれば、アメリカの戦争に日本の存立危機として自衛隊が参戦する可能性があります。

政府は、国家の安全を脅かすという理由で、特定秘密保護法を根拠として情報を統制し世論を操作することもありうると考えられます。日本の歴史は、反対する人々が多くあっても、操作された事態による情報により、民意は容易に体制の方針に反対できなくなることを教えています。

戦後70年間の平和と民主主義は、憲法によって守られてきました。憲法が国民主権の砦であり、憲法に違反する法整備はあってはならないのです。これまで日本の政府は、アメリカの要求に対しても、憲法を盾として集団的自衛権の行使を否定してきたのです。

そして、日本は、開発途上国への青年海外協力隊の派遣や青年平和交流事業の推進、YMCAを含めてNGO・民間団体による国際交流事業、国際協力事業によって、国や民族・宗教を超えた相互理解を促進し、平和の関係を築いてきました。
アジアへの侵略戦争を敢行し数千万人の人々のいのちと生活を破壊し、被曝国として自国民を塗炭の苦しみに追いやった歴史を顧み、日本は、軍隊を放棄し、軍事力によらない世界の平和に貢献してきました。そして、今も国際協力・交流の貢献が世界の人びとに期待されているのです。

YMCAは、平和の主イエス・キリストの愛と奉仕の精神に基づいて、日本YMCA基本原則を掲げています。その使命の第三項に「私たちは、アジア・太平洋地域の人々への歴史的責任を認識しつつ、世界の人びとと共に平和の実現に努めます。」とあります。

 

昨日の衆議院平和安全法制特別委員会での強行採決、衆議院本会議での採決という、憲法に違反し国民の反対を押し切る暴挙に対し、この法案が廃案となることを強く求めると共に、政府与党の議員の方々の民主主義・立憲主義に基づく良識ある判断をお願いいたします。

日本YMCA同盟
総主事 島田 茂