写真=山中さん

防災士の資格を持つ牧師や信徒によるネットワーク「クリスチャン防災士ネットワーク(CBN)」主催の「オンライン防災士講演会」が5月25日に行われた。

有識者の経験や知恵に耳

最初に、代表の菅野直基氏が挨拶。「CBNは、約3年前に結成の話し合いをし、半年前、正式に設立した。100年前のスペイン風邪のパンデミックを教訓とし、有識者の経験や知恵に耳を傾け、『自助、共助、協働』の精神で、CBNに期待されている働きは多い。パンデミック下で、首都直下地震や南海トラフ大地震などの大災害が起こる可能性もある。クリスチャン防災士が増えると共に、このネットワークに加盟する方々が増えていくことを期待する。このセミナーが第一歩となり、活動が成長、成熟して豊かに実を結び、ウィズコロナと共に来るべき大災害に備える機会となりますように」と挨拶した。

当日は、アマチュア福音落語家のゴスペル亭パウロ氏が、「南海トラフ地震が来たらどないすんねん」と題して防災落語を披露。ユーモアに満ちた語り口で笑わせながら、防災知識を伝えた。

誰もが避難所などでできること

続いて、看護師の山中弓子氏が「クリスチャンとして避難所にどう関われるか」というテーマで講演した。

山中氏は、阪神淡路大震災での避難所運営支援をきっかけに災害支援に関わるようになり、現在は岡山県の真備町で訪問看護・訪問介護をしながら、安全安心な避難行動と避難生活の取り組み、ぬいぐるみを使ったストレスケアワークショップなどを行う。

最初に「最も小さい者たちの一人にしたことは、わたしにしたのです」(マタイ25・40)を挙げ、「ほんの小さな助けが神様の愛を示すものになり、イエス様ご自身に手を差し伸べる者になるんだなあという思いで支援をしている」と話した。

その上で、クリスチャンが地域の避難所に逃げた時、支援する時、教会が避難所になった時を想定し、避難所とは(避難所の種類)、設営と運営(感染対策を含めて)、支援の実際と工夫、避難方法と配慮が必要な人への工夫について説明。誰もが避難所などでできることとして、①環境を整えること(お掃除ボランティア)、②食事を作ること(調理・洗い物ボランティア)、③サロンの開催(おしゃべりボランティア、手芸、編み物、ぬり絵、木工など)、④高齢者を支えること(お話相手、お散歩、安否確認、通院やお買い物の付き添い等)、⑤親子の支援(育児相談、託児、遊び相手)を挙げた。

質疑応答で、「指定外避難所を教会がした場合、発生前から備蓄品をもらえるか」との質問に対し、山中氏は「各市町村にもよるが、避難できる人数を伝えた上で、それに応じた最小限の水、毛布、乾パンが届く。それ以外では防災に取り組んでいるNPО、ライオンズクラブ、ロータリークラブ、コープに相談すると他の支援がいただけるかもしれない」と答えた。
講演を受け、各グループに分れてディスカッションをし、最後にCBN顧問の清家弘久氏(ハンガーゼロ理事長)が祈りをささげた。【中田 朗】