サン・ファン号 この夏見納め 宮城県 4分の1スケールに復元船再現へ

原寸大の「サン・ファン号」

伊達政宗の夢とキリシタンの物語が詰まった原寸大の「サン・ファン号」=写真上=を間近に見られるのは、この夏が最後かもしれない。洋式帆船「サン・ファン・バウティスタ」(「洗礼者聖ヨハネ」の意味)号は日本で建造され、1613年、支倉常長ら慶長遣欧使節を乗せ、太平洋を二往復した。当初の通商目的は果たせなかったが、支倉らはスペインで洗礼を受けた。
宮城県では、先達の偉業をたたえようと、サン・ファン号復元の県民運動が起き、1993年に石巻市渡波に復元船が建造された。東日本大震災では津波被害を受けたが、国内外の支援で2013年に再公開した。
しかし、その後船全体の老朽化が深刻になり、17年に県は解体を決定。24年に復元船を展示するサンファン館をリニューアルし、復元船は4分の1スケール(繊維強化プラスチック製)で再現する計画だ。現在の復元船を間近で見られる「野外広場」での観覧は「東京オリンピック・パラリンピック」開催時期までの予定。サン・ファン館URL https://www.santjuan.or.jp/

(一方、解体に反対する市民による保存運動が展開されています。2021年8月22日号掲載記事