アジア全体で共通した「世代問題」が見いだされた。全アジア規模で開かれた宣教会議「アジア2021」(10月11~14日、オンライン、10月24、31日号既出)の3日目は「アジアの次世代への働きかけ」。

デジタル化などによる世界の急速な変化の一方、教会が数的に成長している地域でも青年層が減少しているという課題がある。このような時代を代表する「Z世代」(10~20代)の課題に注目し、アジア各地域からNGO職員、宣教団体スタッフ、企業家、牧師など6人の20~30代が語った。

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宣教会議「アジア2021」開催 千300人参加 「大潮流」とらえ教会構築

「キリスト教は西洋」を問い直し

 

 「Z世代」の悩み

今回登壇した若者のグループは半年前からディスカッションを重ね準備してきた。聖書メッセージではシャロンさんが、「若い世代が教会から減少している問題は一個所の問題ではない。全世界で似た現象が起きていることが分かった。若者は自分たちが教会から切り離されたように感じている」と述べた。ヨエル2章28節から「神様は若者をこの時代に用いる」と話し、Ⅰヨハネ2章14節、民数記8章24~26節から「若者も年長者も多世代で教会を建て上げる必要がある」と話した。

各発表では「Z世代」の特徴、かかわり方、現代世界に対する教会の姿勢、弟子づくり、などについて述べられた。

生まれたときからデジタル環境で育ったこの世代は、柔軟で開放的、社会的意識が高いなどの特徴があるが、自分が認められるかどうかという不安を抱えている。彼らとかかわるには裏表のない姿で、弱さをもさらけ出せるリーダーシップが求められる。

教会と世の中が分離されている状況が指摘され、日曜日の礼拝やプログラムだけではなく、日々地域コミュニティーとかかわり、社会問題に対応するといった包括的なアプローチを提案した。

弟子づくりに関してはデジタル時代には情報の入手の仕方、コミュニケーションの仕方が変わっていることに留意した。信頼関係に基づき、共に戦う仲間という意識が重要であると紹介された。

司会で40代のデビッド・ドンさん(世界華福中心事務局長)は「世代の違いに目が行きがちだが、究極の問題は何が福音かだ。十字架の過去、神の家族の現在、やがて来る神の国の未来がある。神の国の希望は人間の努力ではなく、神の行動にかかっている。この福音の希望に立つとき、本当の自分が回復し、世界とのかかわり方が変わる」と励ました。

 「本物の生き方」求め

今回の若者のグループに企画から参加した齋藤謙治さん(同盟基督・港南福音教会伝道師)は「毎週のように議論し、時差もあり大変だったが、話し合いを重ねる中で共通点が見えてきた。仲良くなり信頼関係ができた。文献や講義では見ることができなかったアジアを、人を通してかいまみることができた」と語った。

矢島志朗さん(キリスト者学生会[KGK]総主事)は「KGKでもコロナ禍でオンラインの活動がメインになる中、大きな集会だけではなく、個人的な訓練や交わりを重視している。今回のアジアの青年たちの声とシンクロした」と述べた。「情報の増大や多様化によって、豊かになったかもしれないが、逆に情報が多すぎて不安も増えている。近年はLGBTや人種問題などアイデンティティーの問題も明るみになった。グローバルな関心の一方、むしろ親密な交わり、共に歩む生き方が大切にされる。苦しみの中でどのように希望を持てるか。本物の生き方が今の時代大切ではないか」と述べた。

(さらに、日本の「次世代」について、参加者が語ります。2021年11月7日号掲載記事)