「物語を読むことが人生をより色濃く、おもしろく、楽しく生きることにつながる」。

『子ども、本、祈り』(斉藤惇夫著、教文館、千650円税込、四六判)の著者は数々の児童書を送り出した編集者であり、アニメ化もされた『ガンバの冒険』シリーズを書いた作家だ。80歳を前にキリスト教幼稚園で園長となる。児童書に携わったとはいえ、生身のイタズラっ子たちに触れる日々に悪戦苦闘。その中で感じる喜びや発見が第1章だ。2章では子どもの言葉を祈りにまとめ、3章は注目した新旧の児童書を紹介。4章では読み聞かせの方法を段階的にアドバイスする。戦後民主主義に失望した著者が児童書に見た希望など若き日の思いもうかがえる。


『赤毛のアン』など数々の児童小説の翻訳、紹介活動で知られる村岡花子は甲府生まれ。山梨英和学院で教鞭を執り、翻訳家となる下地を築いた。『花子とアン 村岡花子の甲府時代』(深沢美恵子編著、教文館、990円税込、A5判)の著者は、同じく甲府生まれで、同学院教師を長年務め、現在は同史料室勤務。花子の随筆や関係者の足跡、著者の体験を交えた甲府の描写には説得力がある。豊かな人間関係に育まれた信仰の姿が浮かび上がる。


『アン』と同様に少女の成長と自立を描いた作品の原作者の伝記大草原の小さな家で ローラ・インガルス・ワイルダーの生涯と信仰』(ティーブン・W・ハインズ著、中嶋典子訳、いのちのことば社・フォレストブックス、2千420円税込、四六判) は時代背景を詳しく描く。前半は物語と対応させて原作者ローラの人生を生き生きと再現する。中盤はローラの娘で政治学者、作家のローズとの共作で生まれた『大草原』シリーズの制作過程と二人の関係性をまとめる。意思の強さは共通するが、信仰面で世俗的だったローズとの共作だったが信仰が重視されたことが分かる。後半では、物語に登場する各賛美歌の背景、同時代の食事のレシピを紹介する。


英国の教会や家庭の食卓を飾る料理やお菓子を紹介する季節で彩る こころの食卓 英国伝統の家庭料理レシピ』(山形優子フットマン著、いのちのことば社・フォレストブックス、千100円税込、B5判)は食感も伝わりそうな写真とレシピにエッセイが添えられる。関連の歴史や著者の体験が織り交ぜられ、食と文化に根付いたキリスト教を味わえる。本紙『福音版』の好評連載をまとめた。


同じく連載をまとめたオカリナ牧師の聖書ゆるり散歩』(久保木聡著、みなみななみ絵、いのちのことば社、千320円税込、B6判)は失敗したり、落ち込んで前を向けない時でも、ほっと深呼吸。日々を生きる励みとなる聖書的エッセイ集だ。趣味が高じたオカリナ演奏の音は信仰姿勢の変化とともに磨かれる。大舞台でも演奏するようになったが、あるとき本番間近にオカリナが割れる。はたしてどう乗り越えたか?


宮城県と岩手県の境にあった米川村(現登米市)。1950年、教会も幼稚園もないのにかかわらず、村や学校が一丸となってクリスマスが祝われ、賛美歌や祝祷もされた。『海のかなたに行き着こうとも、そこに “不思議”を訪ねる旅、東北の隠れキリシタンの里へ』(吉田裕子著、千650円税込、ヨベル、四六判)の著者は当時小学生であり、この「不思議」を解明するため70年後故郷を訪ねる。明らかになったのは村の「キリシタン殉教の重み」。戦後民主化の活気にわき、クリスマス会に続いて次々とキリシタンの歴史が発見され、新たに教会が生まれた。上京した学生時代に信仰をもった著者の人生と米川村、東北キリシタンの歴史が交差しながら記述が進む。

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