【クリスマス】地域の人と共にキャロリング 仙台・八木山のイルミネーション・アートプロジェクトに教会出演

写真=11月開催のコーラスで。遊園地の階段ステージでLEDランタンを灯して歌う

世代を超えた地域の「光」のイベントに教会もかかわる。仙台市市街地に隣接した八木山地区では、仙台市クリエイティブプロジェクトの助成を受けて「八木山イルミネーション・アート・プロジェクト」(以下、同プロジェクト)が今年立ち上がった。12月18日には「クリスマス・キャロリング」として、音楽活動が盛んな保守バプ・八木山聖書バプテスト教会、仙台聖泉キリスト教会をはじめとしたクリスチャンらが地元グループとともに出演する。

八木山地区は、緑豊かな丘陵の住宅街で、遊園地、動物園、学校が集まる。2015年には地下鉄東西線が開通した。高齢化が進む一方、近年の災害で明らかになったのは、地域社会に関与の薄い20、30代の「空白層」の存在だ。同プロジェクトは若手クリエイターの活躍の場を設け、世代間交流を進める。

6月から月2回ほどのペースで、地区内の公園、学校、遊園地を会場に音楽、ダンスなどの野外イベントを実施してきた。クリスマス・キャロリングは、同プロジェクトで中心的にかかわる谷口和也さん(東北大学教授、同盟基督・仙台のぞみ教会会員)が地域の教会に呼びかけた。

「教会の一方的な論理(「トラクトを配るから来てください」など)ではなく、教会と地域が歩み寄り、地域に必要とされる(本物のクリスマスキャロリングは、みなさん経験がない)教会の活動を行えないか」と考えたと言う。「教会が企画するのとは異なり、地域のみなさんの承認を得て進めるので、学校や町内会を通じて案内ができ、銀行やスーパー、病院などにもポスターが貼れます」

同プロジェクトの特徴は参加型だ。「たとえば地元コーラスグループはなかなか知人以外に発表の場がないが、今回様々な人に披露する機会になった。プロの音楽歌手、バンドにとっても、数百人を前に演奏できるのは魅力で、『出演したい』と問い合わせが来ている。中高生で『初めてジャズを聴いた』という声もある。中高生たちは顧問の先生にお願いして部活単位でイベントの手伝いで参加してもらいました」

イベントではLEDランタンを並べるが、その準備はスタッフではなく、参加した人に手伝ってもらう。「千個のランタンを10分で片づけることができる。仙台市の担当部署などから非常灯や防犯ライトの余ったものを提供してもらい参加者が点灯に使用している。傍観者ではなく、いっしょにかかわってもらう。教会もまた地域の構成員として共にかかわれます」

キャロリング当日は、遊園地「八木山ベニーランド」の階段ステージで十字架型にランタンを並べる。「デパートの前などで、キャロリングをするのもいいが、それだと町の人はただ通り過ぎていくだけの関係。しかしここでは、教会の人も、市民もいっしょにランタンを並べ、歌う。配布する歌詞カードには教会の燭火礼拝の案内をする。いっしょに歌った仲間という関係があれば、その後のイベントにも参加しやすくなると思います」

谷口さんはPTA会長となったことを皮切りに地元とのかかわりが増えた。「学校、町内会、消防署、交番、遊園地、動物園などの関係者との交流会もあり、何かあれば、声を掛け、いっしょに活動するという関係が出来てきた」と話す。

同プロジェクトは来年以降も防災とタイアップした取り組みが続く。「東北の震災というと津波被災エリアに注目が行くが、内陸でも様々な助け合いの活動がされてきた。防災講習の会場に教会堂を使うなど様々なかかわりの可能性がある」と話した。
開催詳細は八木山地区まちづくり研究会 https://machi.yagiyama.jp/ から。【高橋良知】