【フォーカス・オン】教会の持続可能性① それでも教会が生き続けるために リニューアル第1号1面
【特集】教会の持続可能性 それでも教会が生き続けるために
人口減少、少子高齢化、多死社会、一般社会を取り巻く状況は否応なしにキリスト教会にも押し寄せており、教勢の鈍化から衰退への反転が認識されるようになって久しい。左に掲げたデータ「教会情報削除件数」は、毎年どれくらいの数の教会が無くなっているのか、その目安を得るために、『クリスチャン情報ブック』6年分のデータを用いて作成した。
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クリスチャン新聞が『2000』から『2018』まで19年間にわたって発行した『クリスチャン情報ブック』は、毎年日本全国のプロテスタント教会に独自にアンケート調査を実施し集計、すべての教会の具体的な情報とともに、『2010』以降は毎年「教会教勢の集計データ」として、都道府県別の教会数、前年比の増減を掲載してきた。今回作成した「教会情報削除件数」は、その「増減」の「減」の数だけを基本的に抜き出して、地域別の数字により作成した。減った教会の数、今までその教会がそこに存在、もしくは存在するものとして情報を掲載していたが、その時点で存在しないことが判明したため、情報そのものを削除した件数である。
多くはアンケート調査で「今は無い」との回答があったもの、何らかの情報収集で、存在しないことが確認されたもの、などである。県を越えての移転などで、その都道府県の数に入らなくなったものは含まれていない。6年間一つの情報も削除されていない都道府県もここには存在する。
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『クリスチャン情報ブック』6回の発行に際し、全国で483の教会情報が削除された。1回平均80件である。おそらく読者の中には「実際に無くなった教会の数はもっと多いはずだ」と、体感的にこの数字を見ている向きもあるだろう。いずれにしろ、すべての教会はこの現実の中で営まれているのであり、教会が時間とともに存続し続けるためには、さまざまな「新陳代謝」新旧交代が必要とされる。信徒の交代、牧師の交代、組織の維持、統廃合、それらに伴って生じる課題と解決への営為。この特集では、それら教会を持続させる営みの一つひとつに目を向けていく。初回は「無牧教会の牧師招聘(しょうへい)」を考える。
すぐに後任が決まるだろうと…
無牧の期間を経て、牧師招聘に至った教会の事例をみていきたい。
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ある地方の政令指定都市にあるA教会は、戦後アメリカからの宣教師によって開拓され、10年ほど後には日本人の牧師に委ねられて教会形成が行われてきた。ある教団には属しているものの、各個教会主義を基本とする群れで、牧師の招聘は各教会に委ねられていたが、1990年代までに複数の牧師が着任。比較的円滑に牧師交代が行われていた。2000年を過ぎて、当時の牧師が辞任を表明。牧師招聘委員会が組織されることになった。当時委員を務めた教会員は語る。
「次の牧師はすぐに決まるだろうと思っていたんです、、、、、」
(クリスチャン新聞2022年4月3日号掲載記事)