北海道旭川市の三浦綾子記念文学館では、三浦綾子生誕100年記念特別企画展「プリズム─ひかりと愛といのちのかがやき─」を開催中(2023年3月21日まで)だ。

今回の特別展はプリズム(透明な多面体)のように「作品を生み出した者として」、「困難を生き抜いた者として」、「一人の女、そして妻として」、「キリストを信じた者として」、「平和を実践した者として」という五つの切り口で、別々に知られていた三浦綾子の姿を立体的に映し出すという試みだ。

この五つのテーマによるパネル解説とともに、書簡や日記、愛読書、聖書、愛用品、『氷点』応募原稿、当時の報道や連載が掲載された雑誌などが展示される。また館内の回廊展示では三浦綾子が描いた北海道各地や文学館の事業などが紹介される。

 

〝普遍的問い〟生き様と作品で反映

「これまでは、作品に焦点をあてた展示が多かったが、今回は『三浦綾子』の全体像を紹介することに力を注いだ」と同館事務局長の難波真実さんは言う。

現代における三浦綾子の魅力について今回の展示のサブタイトルに触れて「作品群と本人の生き様や人柄を通して、ひかりと愛といのちとぬくもりが伝わるところではないか」と話す。

「人はどこから来たか、人はいかに生きるか、人は孤独とどう向き合うか、人の希望はどこにあるのか、という普遍的な問いと答えを、キリスト教信仰を土台にしつつ、自らの人生体験をふまえて反映させたことが、読者の心に響き、琴線に触れているのではないかと思う。作品が古びずに現代に通じているのは、この普遍性ゆえかと推察する。生きづらさや困難を抱えやすい現代において、福音を指し示す文学だと言えます」と勧める。

入館料大人 700円、学生300円(※高校生以下は無料)。関連事業なども企画されている。詳細は同サイトから。https://www.hyouten.com/oshirase/12393.html

クリスチャン新聞web版掲載記事)