何度でもやり直せる姿見せて 「不登校の子どもたちと歩んで」藤田真木子さん

藤田さん

 

「不登校の子どもたちと歩んで」をテーマにした「第9回かたりば」(日本福音同盟女性委員会主催)が4月21日にオンラインで開かれ、同盟基督・北総大地キリスト教会(千葉県印西市)牧師夫人で印西市適応指導教室指導員の藤田真木子さん=写真=が講演した。

現在不登校の生徒は約20万人。適応指導教室は市町村が行う長期欠席の子どもの支援だ。藤田さんは指導員歴23年。その歩みは「子どもたちの不安に付き合い、子どもたちに安心を届ける」歩みであり、切実に思うことは「この子たちに安心を与えてほしい」ということだと語った。

不登校の子どもがたどる段階は「前兆期」「初期(不安、混乱)」「中期(安定期)」「後期(回復期)」。前兆期の行き渋りは、不安を抱えて休養が必要な時。大人が余裕をもって受け止めることが大事だ。不安や混乱の時期に入ってしまうと、不登校が続き、親にとってもつらい時期になる。子どもにとって家は居場所。家を安心の場にすることが大切だ。不安な時期に、「行ける高校がなくなる」などと、家族が不安をあおるようなことを言ってはいけない。「不安は元気を奪い、動けなくします」

適応指導教室に行くことを考えるのもこの時期だ。

安定期には指導教室に居場所ができて、安心して学習にも取り組めるようになる。小さな集団で人間関係を再構築できることは大切だ。回復期には次のステップを考えるようになる。大人はつい大きな成果を期待してしまいがちだが、小さな目標に向けて達成感を積み重ねることが大切だという。

「子どもたちに受け取ってもらいたい安心」として、藤田さんは七つの項目を挙げた。「存在を認めてもらう」「聞いてもらう」「正しく評価される」「可能性を伸ばしてくれる」「待ってくれる」「失敗してもやり直せる」「将来に希望が持てる」

居心地の良い場所で、子どもたちが自分のことを話し始めたら、大人は手を止めて耳を傾ける。ことばにならないときは、待つ。子どもたちは正直に評価されることを望んでいる。「普通の友だちのように、普通の学校に行きたい」と話した子どもは、得意な教科が評価されることで自信を得ていった。

多くの子どもは勉強が遅れているが、その子の良い点を見つけて可能性を伸ばす手助けをすることが大事だ。子どもを信頼して待つこと、失敗してもそれで終わりではなく、何度でも許し合い、やり直せる姿を大人が見せることが必要だ。学校に行けない子にとって、高校に行けるかどうかは大問題。大人が共に考え、可能性を見出し、希望を見せる。

「ぜひ、子どもたちが安心して話せる大人の一人になってください。人生ってつらいこともあるが、案外楽しいもんだよというメッセージを届けてほしいです。人生はトータル。学校に行けなくても、それは通過点。その子への神様の取り計らいがあると信じています」
【藤原とみこ】