松浦氏(左)と中野氏

「ウクライナの状況に胸が痛むが、『ロシアが悪い』とか『一方的にロシアを責めるのはおかしい』など様々な情報が入り、何を信じ、何を批判すべきか混乱した状況がある。誰が正しい、悪いではなく、とにかく戦争を止めたい。平和を祈ろう」。日本キリスト教協議会(NCC)、平和を実現するキリスト者ネット(キリスト者平和ネット)、日本カトリック正義と平和協議会(正平協)は第2回目の「ウクライナを覚えて平和を祈る会」を4月19日にオンラインで開いた。冒頭でキリスト者平和ネット代表の平良愛香さんが祈り会の趣旨を述べた。

 

第一回の祈り会はこちら

詩編126編4~6節(新共同訳以下同)の朗読、イザヤ書2章2~5節の交読連祷、ウクライナのための平和の祈り、世界のための平和の祈りを祈った。

カトリック司教の松浦悟郎さん(ピースナインの会呼びかけ人)と政治学者の中野晃一さん(上智大学教授)が対談した。

松浦さんは「戦争は人間を変えてしまう。優しいお父さんがいつのまにか人を殺しても平気になる」と過去の戦争の例を紹介した。さらに「私たちがニュースに慣れてしまうこと自体も、非人間化の始まりではないか」とも述べた。

中野さんは「ロシア軍を『悪魔だ』と言えば、私たちの気持ちの整理がつくかもしれない。だが、かつての日本軍がそうであったように、兵士たちが人間性を奪われるシステムがあり、人間性を奪う連鎖が生じる。まず互いに人間性を回復する循環が必要だ。武器で加勢して解決するものではない」と指摘した。

さらに松浦さんは「戦争反対が叫ばれているが、戦争にいたる道にもノーを言わなければならない」として、南北格差や日本の軍事化にも目を向けた。中野さんは「グローバル化の中で、経済安全保障や抑止力が言われているが、これ以上戦争を拡大させないための非暴力の流れは、市民社会の側からつくるのが、、、、、

2022年5月8日号掲載記事)