アジア福音同盟女性委員会・子ども委員会主催による「D6ファミリーカンファレンス」が6月9日から開催され、基調講演とともに多くのセッション、ワークショップ(WS)が行われた。その内容を連載で紹介する。第6回は、PCマシューズ博士による「地域教会のためのビジョンー宣教的家庭を建てるには」。教会がいかに家族とともに歩むかを語る。
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我々が目指すものは、「宣教的家庭」を建て上げていくことである。神の使命が果たされ、神の働きがなされていく家庭である。神は、アダム、ノア、アブラハムの各家族を用いてその目的を果たされた。新約においてイエスは教会(新しい家族)を召し出したが、ここでも家庭の役割は重要である。「宣教」とは、神の働きであるだけではなく、神ご自身の愛の性質である(Missio Dei)。であるなら、「宣教的家庭」とは、家庭の中でのあるがままを外でも生きていくような家庭、神の宣教の働きを生きる家庭であると言ってもよいかもしれない。
「宣教的家庭」の五つの特徴は、第一に礼拝する家庭―神が生きておられるから、家庭で神が礼拝される。第二に愛情深い家庭―神から与えられた愛で、家族が互いを愛し、イエスの愛を伴侶や子供たちに示す。第三に受肉する家庭―自分の家族の幸せだけでなく、周りの人、地域に出かけて、助けにいく。第四に魅力的な家庭―家庭が開放され、もてなしを通して、人々がひきつけられて、集まってくる。そして第五に養育する家庭―メンバー一人ひとりが、肉体的だけでなく、霊的にも感情的にも成長していき、ほかの人をも育てていく。これら五つの特徴の中心は、「礼拝」にある。霊的に生き生きと神につながっているからこそ、神に聞きつつ、必要なことをなしていくことができる。また、この五つの特徴は、神ご自身がモデルとなっていることでもある。三位一体の神ご自身が、愛し合い、魅力的であり、受肉してくださり、育ててくださる神であったことを思い出したい。
すべてのクリスチャンホームは、「宣教ホーム」であるとも言える、「家庭」は、礼拝の場、関係の場、伝道のセンター、働きのセンター、弟子訓練のセンターでもある。そして、そのような家庭が集まって、「宣教的教会」が形成されていく。地域教会とは、一つ一つの家庭が集まったものである。
では、どのようにして「宣教的教会」は作られていくだろうか。第一に、神との関係、家族との関係を新しくする。第二に、どの家族もそれぞれの祭壇を再建する、つまり祈りの時を打ち立てていく。第三に教会が信仰の訓練を親たち、祖父母たちへと再び指示していく。第四に、その信仰の訓練の役割を、常に親たちに思い起こさせていく。第五に、必要のある人々、苦しんでいる人々に関わっていく。
10週間にわたり120組の夫婦に行ったアンケート結果から、「宣教的家庭」が具体的にどのようなことを行っているのか、数字として見ていきたい。92%が家庭礼拝を行っている。65%が家庭で祈りの時間をもっている。70%の家庭が、意図的に家族の時間を作るようにしている。65%が赦しにより、家族内の関係性が豊かになっている。54%が周りの友人、地域とつながっている。71%が家族の境界線を優先する。58%(初めての家庭も含めて)が、「家庭訓(モットー)」を書いている。これらから、家族がキリスト者の教育の最善の場所として、いかに用いられているかを見ることができるだろう。(つづく)

クリスチャン新聞web版掲載記事)

『D6─教会と家庭をつなぐ次世代育成ミニストリー』(ロン・ハンター著、岩上真歩子訳、千430円税込、いのちのことば社、A5判)

2023年1月27日開催 出版記念講演会『D6 教会と家庭をつなぐ次世代育成ミニストリー』