【レビュー2】イエスの弟子として心に病を持つ人々を神の国へと導く『心の時代のキリスト教』評・岩上真歩子
21世紀の良きサマリア人になるためには、どうすれば良いのだろうか?
心を病んでいる人が身近にいても「どのように対応していいのか分からない」「苦手だから」など「自分に都合の良い言い訳を思い浮かべている」ことがないだろうか?
それは「強盗に襲われた人の横を通り過ぎていった祭司やレビ人と同じ」ではないか? クリスチャン一人ひとりが良きサマリア人となるために、また教会が「宿屋」になるためには、もっと学び、備える必要がある。このように本書は21世紀の心の時代に生きるクリスチャンひとり一人に対するチャレンジから始まる。
本書は「舟の右側」誌(地引網出版)に2年間連載されたものを1冊にまとめたものである。各章にはひきこもり、うつ病、愛着障害、発達障害などの心の問題について、基本的に知っておきたいことが端的にまとめられている。
また、臨床経験をもとに、それぞれのトピックに関連した対応の仕方が述べられているので実践に役立つ。
さらに、聖書的な視点からの解説も加えられているのも特徴的である。身近にいる方々のことを思いめぐらし、その方にとっての良きサマリア人となるために何ができるか、具体的に学ぶことができる。
最終章において著者は「キリスト教カウンセリングのゴール」として次のように述べる。
「イエスは個々人が抱えている生きづらさや病気や障害などという『小さな物語』に関心を払われたが、そのことによって彼らが神から引き離されているということにこそ本当の関心があり、そのような状況を生み出している行き過ぎた律法社会(内側の大きな物語)を是正しつつも、彼らが神の国の住人になるという『さらに大きな物語』を目指しておられた。」
つまり、ゴールは「イエスの弟子として心に病を持つ人々を神の国へと導くこと」である。「私を通してキリストの慈愛がクライアントに注がれ、創造主なる神への思慕が彼らの中に生まれることである」との著者の姿に倣(なら)いたいものである。
(評・岩上真歩子=日本ホーリネス教団・久喜キリスト教会牧師)
『心の時代のキリスト教』 堀川 寛著、地引網出版、1,760円税込、四六判
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