同盟福音基督教会 岐阜キリスト教会牧師
川村真示

あけましておめでとうございます。2023年も皆様の上に、主の豊かな祝福がありますように。

 

 岐阜人の気質表わす「輪中根性」

 

ご存知のように、23年9月19日から22日、岐阜市の長良川国際会議場にてJCE7(第7回日本伝道会議)が行われます。岐阜で生まれ育ち、故郷で主と教会に仕える私としては、この町で全国規模の大会が開かれることをうれしく思っています。

岐阜の人の気質を表す言葉に「輪中根性」があります。東海地域の中央には木曽川、揖斐川、長良川という木曽三川が流れ、そこから分かれ出た支流が、網目のように流れています。その堤防に囲まれた地域を輪中と言います。洪水になれば町や村が沈んでしまうため、そうならないように防水に励む運営共同体であり、いざとなれば相手側の堤防を決壊させることもあったとか。

 

 日本全体、教会も「大きな輪中」か

 

そんなことから「内側の結束は固いが、よそ者に対しては猜(さい)疑心が強く冷淡」という気質が生まれたと言われています。同時に、言うならばこの日本という国自体が、海に囲まれた「大きな輪中」のようなものではないでしょうか。そして、「輪中根性」をもってはいないでしょうか。

しかし、イエスは彼に言われた。「やめさせてはいけません。あなたがたに反対しない人は、あなたがたの味方です。」(ルカ福音書9章50節)

この聖書箇所の前には、12弟子以外の者が悪霊を追い出しているのを見て、ヨハネがやめさせようとしたことが記されています。弟子たちにも、福音は広がってほしいけれど、自分たちを通してでなければならない、という「狭い正義感や正統意識」があったのかもしれません。

そんなヨハネにイエスは、「あなたがたに反対しない人は、あなたがたの味方です」と言われました。何ともおおらかな視点です。無節操に仲良くすれば良いのではありません。

別の箇所ではこう言われています。

わたしに味方しない者はわたしに敵対し、わたしとともに集めない者は散らしているのです(11章23節)

前者は「あなたがたに反対しない人」、後者は「わたしに味方しない者」となっています。互いの違いは許容しつつも、主イエス・キリストにおいては、しっかり一致しなさい、と言われているようです。

 

 「和解と一致」JCE7に期待

 

この視点を大切にしたいと思うのです。22年9月ギリシャで行われたIFFEC(国際自由福音教会連盟)総会に出席しました。テーマは、「分断が進む世の中にあっての和解と一致」でした。世界は今、ロシアとウクライナの戦争という大きな分断を抱え、また欧米の教会を中心に、コロナ禍、環境、ジェンダーなど、さまざまな見解の違いから、互いに自分たちこそ正統だと主張し合い、分断が進んでいます。

クリスチャン同士の分断やいがみ合いは、外側の人にとって一番のつまずきとなります。今の日本では旧統一協会や宗教二世が大きな問題となっていますが、福音的な教会に対しても、結局自分たちの利益と主張のために活動しているのではないか、という厳しい目が注がれています。このような時代だからこそ、私たちはもう一度、教会や教団を超えた「神の国の視点」を取り戻し、行動する必要があるのではないでしょうか。

そういう意味で私は、日本伝道会議に大いに期待しています。「天下分け目」の関ケ原ではありませんが、この伝道会議の行方が今後のあり方を決定するぐらいの気概をもって臨みたいと思います。

どうか、私たちを分断している、あらゆる堤防が決壊し、一つの神の国のために生きることができますように。一人一人が自分の中にある堤防に気づき、悔い改めへと導かれますように。そして主の恵みが、この地を覆い尽くしますように。

2023年01月01・08日号掲載記事)