「憲法改正、何が問題?」テーマに星出氏

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以下は講演の要約。
─自民党は2018年、⑴選挙区合区解消、⑵教育無償化、⑶9条に自衛隊の存在明記、⑷緊急事態条項、の改憲案4項目を提示したが、これらは特に憲法違反であると批判され、難航している問題に集中している。〝信教の自由〟の項目がなく、安心したと思われるかもしれないが、それは甘い。
「合区」とは「合同選挙区」のこと。2013年の衆院選では一票の格差は最大4・77に達し、翌年の最高裁判決で「違憲状態」とされた。違憲判決まで出ている論議を法改正で元に戻すのは難しい。そこで憲法に明記することで一気に方を付け、憲法でお墨付きを得て以後の議論を封殺するという意図が見られる。

星出卓也氏

教育無償化は憲法26条の「教育を受ける権利」にかなっているように見え、憲法明記に賛成という人もいる。だが教育無償化の裏には、教育が「国のため」という重大問題が隠されている。政府が教育に公金を出すのだから、教える内容も国が管理する。国に役に立つ教育内容を条件付ける。もしこれが憲法に書き込まれたら、お墨付きを与え批判を許さぬ既定路線となる。
自衛隊が憲法に書き込まれると、「自衛」が憲法上重要な価値を持つ。徴兵制は、現憲法下では、「意に反する苦役」(18条)と理解され、これを課すことはできないが、9条に自衛隊が明記されれば、18条の例外として徴兵制が置かれる可能性がある。何より戦後、自衛隊を巡っては違憲・合憲の議論で二分されとたものが、自衛隊明記によって合憲であることを決定づけ、15年の安保関連法が違憲であるとの議論を封殺し、合憲のお墨付きを与えるだけでなく、この路線を大々的に進めるのが目的だと思われる、、、、、

2023年01月01・08日号掲載記事)