政治情勢とともに、海外移住、コロナ禍など様々な影響が香港の教会で起きている。「香港を覚えての祈祷会」(同主催)が1月14日にオンラインで開催された。香港主要教派の中華基督教会総幹事で、世界教会協議会(WCC)中央委員の王家輝(ウォン・カーファイ)牧師が、「香港教会が直面する諸問題とエキュメニカルな交わりの重要性」と題して語った。【高橋良知】

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冒頭で同祈祷会呼びかけ人の一人、松谷曄介氏(金城学院宗教主事・准教授)が現況を報告した。民主派のデモにも参加していた、カトリック枢機卿の陳日君氏が22年に一時逮捕・起訴されたことを紹介。その後、保釈され、比較的軽微な罰金刑ですんだが、枢機卿でも逮捕されるという政府のメッセージの実例となった。

今年1月13日に陳氏は91歳の誕生日メッセージを発表し「苦しみを受けている兄弟姉妹」と言及したが、「21年に廃刊に追い込まれた民主派の大手紙『リンゴ日報』社長の黎智英(ジミー・ライ)氏は陳氏によって洗礼を受けたカトリック信徒であり、その黎氏が現在収監中であることが想起される」と松谷氏は指摘した。

 

世界視野、価値観の教育重要

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王家輝氏は、まず香港の市民生活の概況について話した。「厳しいコロナ政策により、経済状況が悪化し、失業、転職を余儀なくされている人々がおり、庶民層では住宅問題が深刻。子どもの教育への影響を心配する若い夫婦を中心に海外移住者が増加した。愛国教育や、言論の制限などで、子どもたちの『自主的思考』が失われるという懸念が広がる。香港に残った高齢者(「遺老」)のケアも課題。1月から香港、マカオの出入境が緩和されたが、感染を心配して買い占めが起こり、医療品が不足している」

教会については、「コロナ禍で行動制限され、牧会ケアは会堂ではなく、家庭が中心になった、、、、、、

2023年02月05日号掲載記事)