「文書伝道の灯を絶やしてはならない」

森永さん

 

大阪府堺市北区の堺キリスト教書店(聖燈社)が復活した。1970年に堺市内でスタート。2011年まで41年間近隣地域の文書伝道を担ってきた。その後一般社団法人日本聖書協会直営のキリスト教書店「BIBLEHOUSEびぶろすの森」が、働きを継続して、今年3月まで営業した。現在ビブロスの森は京都ヨルダン社が運営している。堺キリスト教書店は閉店後も聖燈社古書店として営業を続けていたが、大阪キリスト教書店の後押しを得て、4月1日から12年ぶりに再出発を果たした。

店長の森永幸雄さんは84歳。「文書伝道の灯を絶やしてはならない。やれるうちに頑張ろう!」
熱い使命感で荒海に乗り出した。お客さんの再開を喜ぶ声に励まされている。たとえ年1回だけ足を運ぶお客さんでも、店舗があれば大助かりだという。

森永さんが古書店と並行して続けていたのは、出版を行う聖燈社。アシュラム運動の普及に尽力した故榎本保郎牧師の『ちいろば』を発行している。17歳のときに信仰を持って以来、尊敬する恩師との出会いは多いが、榎本牧師もその一人だ。

キリストとの出会いは、ホーリネス・調布キリスト教会のクリスマスがきっかけだ。プレゼントがもらえるそうだと聞いて「ひやかしで」行ったら、当時伝道師だった江副喜介牧師に導かれ、本当に一生分のプレゼントをもらうことになった。洗礼はホーリネス教団の指導者、故米田豊牧師から受けた。

その後海上自衛隊を経て、堺市で就職。キリスト教の仕事がしたいと考えていたとき、キリスト新聞の読書週間のキャンペーンコピーが目に飛び込んできた。

「キリスト教書はキリスト教書店で買いましょう」

ここ堺市に、文書伝道の灯をともそう。大阪キリスト教書店に相談して、30歳で開業に漕ぎつけた。堺市の他、キリスト教書店のない和歌山、奈良にも、車に本を積んで教会を回った。店は義母の千代さんが守り、たくさんのパートさんに支えられて、家族と共に灯し続けた伝道の火だ。

「消してはいけない火です。応援してくれる人が大勢いてできたことです。感謝でいっぱいです」【藤原とみこ】

2023年04月23日号 02面掲載記事)