タイ孤児院リーダーたちと交流 「レポート:a cup of water」
神は巣立った子を用い、かけ算的に恵み広がる
タイの孤児院で働くリーダーたち9人(3組の夫婦と女性3人)が3月24日来日し、ニューライフキリスト教会(豊田信行/牧師大阪府三島郡)に1週間滞在した。(レポート=事務局‥山本沙織)
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同教会には、このタイの孤児院を支援する「NPO法人a cup of water」(代表・豊田) の事務局があり、コロナ禍の時期を除き毎年孤児院を訪問し、リーダーや子どもたちと豊かな関係を築いてきた。タイ人チームは、アメリカ人宣教師ローズ・マルティネスさんが率いる。
43年前、当時25歳のローズさんは、単身タイへ。幼い女の子たちが売春宿へと売られる悲惨な現状を目の当たりにした。そのままタイに残り、女の子3人を自分で育てることに。それが孤児院「クリスチャン・ハッピーホーム」の始まりだ。その後、Mercy Ministries Foundation というタイの現地法人を創設。傘下に、タイに孤児院とベイビーホーム(3か所)、カンボジアに孤児院(1か所)がある。タイ北部に所在するホームには、アカ族、カレン族など少数民族出身の子どもたちも少なくない。
これまで多くの子どもたちの人生が変えられてきた。今回来日メンバーのうち4人も、ハッピーホーム出身だ。その一人のマンカさん(通称MKさん)はアカ族出身だが、幼い頃両親を亡くし、実の兄によって800バーツでリス族の家族に召し使いとして売られた過去がある。ハッピーホームに来てから信仰を持ち、聖書学校も卒業。だが、「なぜ自分は孤児なのか」の問いが彼を悩まし続けた。ある時、「それは、自分と同じ境遇にある孤児を助けるためである」という神様からの答えを受け取り、すべての疑問が消え去ったという。
来日メンバーからは、そんな悲惨な過去は感じられず、何とも愛らしい人々だ。物腰が柔らかく、謙遜で、細やかな心遣いを忘れない。その上ユーモアにあふれたメンバーの周りは、笑いが絶えない。タイ料理のグリーンカレーをふるまったり、支援者の作る餃子(ぎょうざ)やお好み焼きを囲んで温かい交流の時間を楽しんだ。道端に咲く小さな花々にカメラを向け、着物姿ではにかみながら、記念撮影に夢中になった。滞在中、どこへ行っても美しく咲き誇る桜が景色を彩り、チームを祝福した。
神様の愛を広く分かち合う機会にも恵まれた。訪問した児童養護施設では、施設の庭で遊ぶ子どもに「イエス様はあなたのことが大好きだよ」と優しく語りかけた。福音歌手の森祐理さんがパーソナリティを務めるラジオ関西「モリユリのこころのメロディ」にもローズさんとMKさんがゲストとして出演。MKさんは自身の経験を振り返りつつ、「どんな状況にあっても、神様はあなたの人生を変えることができる」と、ラジオの向こうのリスナーに心を込めて語りかけた。
ローズさんは今年12月に正式に退任する。43年に及ぶ働きを振り返り、「神様が孤児院を巣立った子どもを用い、さらなる御業をなされ、恵みがかけ算式に広がっていった」と語る。以後は、今回一緒に来日した8人のタイ人リーダーが働きの中心を担う。その先頭にMKさんが立つ。今後も、きっと「恵みのかけ算」は続くだろう。
今年は奇しくも、a cup of water 15周年。チームの訪問は、15周年を祝うこれ以上にない贈り物となった。
(2023年05月07日号 07面掲載記事)