「キーウへの大規模なミサイル(ドローン)攻撃が止まりません」ウクライナ船越宣教師報告 2023年5月30日
ウクライナの船越真人宣教師から現地の情報が5月30日に編集部あて寄せられた。一部編集して掲載する。
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ロシアのプーチン大統領は29日、ウクライナ侵攻で制圧し併合を宣言した東部・南部4州での地方選実施を可能にする改正法に署名、発効させました。プーチン政権は戒厳令を続けながら今年9月の統一地方選に合わせて4州でも選挙を行い、地方議会立ち上げや知事の選出などを計画し、そのための法改正案が今月、上下両院を通過していました。(共同通信)
軍事侵攻 → 占領 →(銃を突きつけての)住民投票 → 帰属国家からの独立宣言 → 独立国家としてのロシアによる国家承認 → ロシアへの併合の是非を問う住民投票 → ロシアへの併合。これがロシアが他国の領土を奪い取る際の常套手段です。(ただしウクライナ東南部の四州に関しては上記のステップさえもいくつかとばして併合宣言をしました。)
日本にも「ウクライナは徹底抗戦をやめて早く武器をおいて停戦すべきだ」という知識人たちがおられますが、その方たちは決まって「停戦したからと言って、占領地がロシア領になるわけではないのだから」と言います。「そうですよね」とまずはロシアに尋ねてみてほしいものです。上記のような決定をどう説明するのでしょうか。ロシア憲法では「いったん併合した領土は返還も割譲もできない」と定められています。だから去年の10月に四州の併合宣言をしてはならなかったのです。それをしてしまった以上、領土を奪われた国家は(ロシアは併合してしまった領土は交渉にもあげないと言っているので)それを武力でしか取り返せない状況になってしまったのです。本当に悲しいことです。
ロシア軍によるキーウへの大規模なミサイル(ドローン)攻撃が止まりません。反転攻勢が始まれば(部分的にはすでに始まっているとも見られていますが)戦場で犠牲が出てしまうことは(残念ながら)理解できますが、キーウなどでの明らかに一般市民を標的にした攻撃は戦争犯罪以外の何ものでもありません。また、「反転攻勢どころではない」という状況を作り出すために、ザポリージャ原発で事故に見せかけた放射能漏洩も画策されているという恐ろしい可能性も報道されています。速やかにロシア軍が占領地から撤退して戦争が一日も早く終結へ向かうことを切に願っています。
明日、HOPEスクールの終業式、幼稚園の卒園式を行います。
今日はそのリハーサルでした。
戦時下でHOPEスクールと幼稚園をすることができ、終業式と卒園式を迎えられることを主に感謝しています。そして、祈って支えてきてくださったみなさまに心から感謝しています。
この醜い戦争が続く中で卒園していく幼稚園児たちを見ながら、ふと、昔読んだ詩を思い出しました。
人が本当はどう生きるべきか
どのようにふるまい
どんな気持ちで日々をおくればよいのか
本当に知っていなければならないことはすべて
幼稚園のときに教わったような気がする
人生の知恵は決して高等な「山のてっぺん」にあるのではなく
幼稚園の教室に普通にあった
みんなで分かち合うことの大切さ
ずるいことをしないこと
人に暴力をふるわないこと
とったものはもとのところに戻すこと
ちらかしたら自分で後片づけすること
人のものを奪い取らないこと
だれかを傷つけたら「ごめんなさい」と言うこと
食事の前には手を洗うこと
トイレに行ったらちゃんと水を流すこと
規則正しい生活をすること
毎日、少し勉強し、少し考え、少し絵を描き、歌って、踊って、遊んで、そして、働くこと
おもてに出るときは車に気をつけ、手をつないで、はなればなれにならないようにすること
不思議だと思う気持ちを大切にすること
発泡スチロールのカップにまいた小さな種のことを忘れないようにすること
種から芽が出て、根が伸び、草花が育つ
どうしてそんなことが起きるのか、本当のところは誰も知らないこと
そして、人間の成長も不思議なことだということ
金魚も、ハムスターも、二十日鼠も、発泡スチロールのカップにまいたあの小さな種も、いつかは死んでしまうということ
そして人も死から逃れることはできないこと
人として知っていなくてはならないことはすべて、このなかに何かの形で触れてあるのだと思う
ここには、人にしてほしいと思うことは自分もまた人にたいしてそのようにしなさいという「黄金律」の精神や、愛する心や、他者と自分を大切にするための真理がある
環境、政治、それに、平等な社会や健全な生活についての考察が
ここから、どれなりと項目を一つ取り出して、知識の進んだ大人に向けた言葉に置き換えてみるといい
そして、それを家庭生活や、それぞれの仕事、国の行政に当てはめてみればいい
各国の政府が他者から奪い取ることをやめ、暴力を振るうことをやめ、とったものはかならずもとのところに戻し、ちらかしたら自分できちんと片づけをすることを基本政策に掲げてこれをきちんと実行したら、世界はどんなに変わるのだろうか
本当に知っていなければならないことはすべて
幼稚園で教わったはずだと思う
そう、人はいくつになっても、やはり、おもてに出たら手をつなぎ合って、はなればなれにならないようにするのが一番なんだということも
知らないからできないのではなく、わかってはいても、人は(私自身も)キリストの福音に内在している神の生きた力によらなければ悪と罪の力を克服できないのだということを痛感しています。
船越真人・美貴