ウクライナの船越真人宣教師から現地の情報が7月8日に編集部あて寄せられた。一部編集して掲載する。

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ザポリージャ原発で「事故」が起こるという懸念は、当面はやや低下したものと思われます。ただ、ウクライナ軍の反転攻勢がさらに進み、ロシア軍が撤退することを余儀なくされた場合、そのタイミングで原発に破壊工作が行われる可能性は残っています。

今はウクライナにとって別の脅威が起こっています。
去年9月、プーチン氏がロシア国内で30万人の「部分動員」をかけたのを覚えておられると思います(9月上旬にウクライナ軍が電撃的にハリコフを奪還した直後のことでした)。その30万人のうちの大部分がどこにいるのかが不明でした。ところがここにきて、ハリコフのすぐ南の戦線に突如18万人規模のロシア軍が出現しました(18万人とは、去年の2月24日の侵攻開始時に集結していた兵力よりも多い数です)。ウクライナ軍が南部で反転攻勢に集中しようとしているところに、反転攻勢への反転攻勢として、ロシアは新たな大規模兵力を(奪還されたハリコフ方面に)投入してきました。これによって戦況がどう動くのか、強い緊張感をもって見守っています。

私たちの周りでも徴兵委員会に出頭するように命じられる人々が増えてきています。戦況は収束に向かっているというよりも、さらにエスカレートしてきていると強く感じています。
ウクライナ人は自国の主権と尊厳を守るために、侵略者を自国の領土から押し出すまで戦うという固い決意を持っています。しかし同時に、出口の見えない戦争に疲れきっています。また、反転攻勢を成功させる決定打となる兵器が供与してもらえない中、それでも早く成果を出すことが求められている状況に強いフラストレーションを感じています。その中で、ダムが破壊されて多くの人々が住居を失い、原発が脅威に晒されて多くの人々が日常を失い、新しい戦線が開かれてさらなる動員が必要となっている。この暗澹たる思いの中で、人々は将来を展望できなくなってきているように思えます。

一日も早い戦争の終息と共に、この状況の中で人々が真の希望の土台を見出すことができるように、そのために教会が用いられるように、心から祈っています。

ウクライナを忘れず、あきらめずに祈ってくださっているみなさまの本当に尊いお祈りに心から感謝しています。

船越真人・美貴