5月19、20日に開催された「D6全世代信仰育成ファミリーカンファレンス」(アジア福音同盟・D6ジャパン共催、6月11日号で一部既報)から、各セッションの内容を抄録する。今回は、チャイユン・ウコサクル博士(「ヘルシーアタッチメント(健全な愛着)」コーチングディレクター社会開発部)が家庭内での関係について語る。(レポート・D6ジャパン事務局)

 

これまでの記事

① 「弟子づくりについてもう一度考えよう」 2023年07月16日号

② 「教会と家庭が『もう一度つながろう』」 2023年07月30日号

③ 「教会と家庭が『もう一度つながろう』」Part2 2023年08月06日号

 

仏教の盛んなタイでイエスに出会った私は、神学校でイエスの弟子訓練の方法と釈迦の弟子訓練について研究し、「輪廻から十字架に向かう」というテーマで論文を書いた。そこで学んだのはイエスの弟子づくりは人間関係を土台にしているということだった。イエスの弟子たちは、イエスを間近に見ながら学んだ。しかし仏教の教えによれば、人生の究極的な目的を達するためには、すべての親密な人間関係やものから離脱しなければならない。この教えはタイの人々に大きな影響を与えている。

さらに神学校で学んだことは、弟子づくりに最適の環境は家庭だということであった。しかし教会や神学校では家庭よりも教室の方が弟子づくりに使われていて、家庭がほとんど活用されていない。その方が便利だし、深い人間関係が必要とされないからだ。この人間関係の切り離しはオンラインシステムの広まりによってさらに進んだと言える。しかし画面を通しての向き合いは、実際に対面での関わりの代わりにはならない。それは今や家族のつながりの障害にもなっている。

申命記6章にみられる「つながり」を大切にしなければならない。家庭礼拝はよいものであるが、家族のつながりが弱い時、子どもたちに影響を及ぼすことはできない。親が心を尽くして主に従っていく姿勢を、子どもたちは見ている。仕事を横に置いて、家族と向き合うことが大切である。

「愛着理論」によれば、愛着(アタッチメント)とは他者との情緒的なつながりを指している。子どもたちが最初に築く「つながり」は親とのものであり、その絆は生涯続く。子どもは、自分の両親や祖父母、自分を愛してくれる存在としっかりつながることで、安全・安心の中で精神的にも霊的にも健やかに育っていく。これは単なる理論ではなく、主ご自身が私たちに求めておられることである。家庭での健康的なアタッチメントを通して、信仰のコミュニティーが愛とケア・保護、信仰とそのよい模範を与えるのである。そのようにして子どもたちは安心して他者とつながり、自立することができる。

私の子どもたちが十代の頃、聖書通読をしているか尋ねると、もう4回したという答えが返ってきた。親が毎日聖書を読んでいる姿を見て同じことをしたと言った。親の行動を見て学ぶのである。親は子どもたちの模範であるべきだが、完全ではない。時には失敗する。その時には、謝ってゆるしを得ることも必要である。子どもは教えと人生の模範を必要としている。

子どもたちに教えるべきは、神を畏れること。そして本当の成功とは、神を愛し隣人を愛し、キリストに似ること。健康的な家庭環境があれば、子どもたちはイエスとの個人的な関係を持つようになる。親は子どもたちとつながる時、行動や言葉を通して子どもたちにもっと影響を与えることができる。そのために、三つのアドバイスをしたい。1、携帯の使用を制限し、自分がまず模範となる。2、顔を合わせて話し、裁かずに注意深く聞く。3、愛情表現を用いて愛を示す、だ。(つづく)

2023年08月13日号   07面掲載記事)