「負傷兵は、私を抱きしめて離そうとしませんでした」ウクライナ船越宣教師報告2023年10月6日
ウクライナの船越真人宣教師から現地の情報が9月29日、編集部あて寄せられた。一部編集して掲載する。
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昨夕も、アレクサンドラフカ病院に負傷兵たちを訪ねました(昨日は6名で行きました)。
私は特にブラドという21歳の青年と話しました。彼は、激しい砲撃戦の中で、3メートル先で仲間の体が真二つになるのを目撃してしまったそうです。戦闘中に自分自身も強い脳震盪(のうしんとう)になり、この病院に送られました。しかし、感情的にも仲間たちを失った悲しみ、怒り、自分が生き残ったことへの罪悪感などに苛まれながら、回復のために休むこともできない日々を送っています。あと数日すれば、また戦場に復帰することになっており、その不安や恐れとも戦っています。
終始、自分の弱さを見せまいとする口調で話してくれましたが、別れ際、ハグをすると、私を強く抱きしめてしばらく離そうとしませんでした。私は泣けてしまいました。「また、会えることを心から祈っているよ」と言うと、言葉にできない複雑な笑み(期待と諦めが混ざっていたのでしょうか)を見せました。
負傷兵たちと話をしていると、ほとんどの兵士たちは、私たちがニュースで聞く「反転攻勢は徐々に進んでいる」「ウクライナ兵の死傷者は少ない」という楽観的な印象を吹き飛ばすような悲痛な内容ばかりで、本当に心が重くなります(ただ、私は、実際に反転攻勢そのものは徐々に進んでいると思っています)。そこに来て、ウクライナへの各国からの支援が今後どうなるか分からない、というニュースを聞くと、本当に気が滅入りそうになります。そのような中でこそ、主権者なる主を見上げて、私たちに委ねられている働きを続けていきたいと願っています。
どうか続けてウクライナの上に主のあわれみがありますように、お祈りください。
みなさまの尊いお祈りに心から感謝しています。
船越真人・美貴