【神学】旧約聖書 からの説教 ルターと現代人の視点で 小賀野英次氏
日本福音主義神学会西部部会秋季研究会から
福音主義神学会西部部会の2023年度秋季研究会が11月20日、神戸市の神戸ルーテル神学校で開催された。テーマは「旧約聖書からの説教」。新約に比べ、説教箇所として取り上げられることの少ない旧約聖書をどのように語るかについて、2本の基調講演と応答講演を中心に考察が展開した。【山口暁生】
小賀野英次氏(西日本ルーテル・東徳島福音ルーテル教会牧師、神戸ルーテル神学校講師)
基調講演1 ルターの旧約理解
基調講演1は小賀野英次氏(西日本ルーテル・東徳島福音ルーテル教会牧師、神戸ルーテル神学校講師)。
―所属する福音ルーテル教会には「改訂共通聖書日課」があり、毎週のメッセージは原則的にその「日課」に指定された聖書箇所からなされる。「日課」の聖書箇所はカトリックや聖公会とも共通のもので、共観福音書を3年サイクルで一書ずつ取り上げ、教会暦に従っている。旧約のテキストは、福音書との関連で取り上げられ、イザヤ書などのキリスト預言に関する箇所が選ばれている。
こうしたルーテル教会における福音書中心の説教は、マルティン・ルターの聖書理解によるものであろう。ルターは、旧約聖書を律法として読むと同時にキリストの言葉として聞くというキリスト論的解釈を展開した。また、繰り返しを恐れず、循環的に聖書を読むのは、修道士であったルターの黙想(メディタティオ)に起因するものである。さらにルターは生涯を通じて、詩篇をキリストの言葉、教会の言葉として読み、黙想することを基盤に自身の神学を形成した、、、、、、
(2024年01月07・14日号 04面掲載記事)