実際の開拓教会の取り組みをテーマごとに報告、討議し、模擬評価をしていった

国内開拓伝道会(KDK)による「第23回KDK開拓伝道セミナー」が2023年11月20~22日に千葉県市川市の山崎総合クリエーションセンターで開かれた。今回は、開拓伝道の実践に対する「模擬評価」を導入し、アドバイザーや参加者らが活発に議論しながら進行した。

KDKは、米国の支援団体ホワイトフィールズの協力を得て、超教派で250の教会開拓者を経済的に支援してきた。従来は教団・教派の教育と指導を尊重してきたが、近年、専門的見地による支援、準備段階での支援などの必要性が認識されてきた。各団体で共通する課題や取り組み、リソースを効果的に共有する宣教協力の機運もある。第七回日本伝道会議(=JCE7、2023年)のプロジェクトとしてKDKが中心となり、「教団教派の新パートナー、開拓者アセスメント&開拓支援センター」を進める。そこでは開拓者の評価、技能訓練、開拓フォローアップを行う第三者機関および、新しい宣教協力体制の構築を模索している。

今回のKDKセミナーでは、JCE7プロジェクトと連動し、米国の「アセスメントセンター」の評価プログラムを取り入れた。今回の取り組みを通して、評価・支援のプロセスや教会開拓専門機関のかかわり方を今後考えていく。

二泊三日間に、①「求道者とのかかわり」、②「信仰者とのかかわり」、③「開拓期の諸問題」、④「教会開拓とビジョン設定」、という伝道、牧会哲学、開拓戦略、教会形成に対応する四つのセッションを実施した。

実際のアセスメントセンターでは、開拓を志す申請者が各セッションのテーマに取り組むが、今回は、KDKの支援を受けている受給者の2人が開拓の実践を語った。福岡県の福音の群・シャインチャーチ牧師の中山有太氏と宮城県の保守バプ・恵泉キリスト教会仙南チャペル教会牧師の大喜多義也氏が担当した。大橋富男氏(保守バプ・大田原キリスト教会牧師)、福井誠氏(バプ教会連合・玉川キリスト教会牧師)が司会進行し、藤田敦氏(同盟基督・北総大地キリスト教会牧師)とともにコメントした。

 

架空の開拓教会が直面した問題をグループで話し合う試みもあった

 

情熱・謙遜・理性が大事

①「求道者とのかかわり」では、大喜多・中山両氏が、それぞれの取り組みについて話した。
大喜多氏は、教会の入口としてのミニストリーについて、仮設住宅ならではの工夫も交え紹介。「福音を語ることは本来先延ばしにすることではない」が、長く関わりを保つ必要もある、というジレンマが共有された。

中山氏は、様々な事情を背景に抱えたメンバーが集う、都市での開拓の事象に際して、礼拝の建て上げに重きを置いてきたことを話し、〝敷居の低い〟集会の持ち方などについて紹介した。

②「信仰者とのかかわり」では、信徒を礼拝の民として、成長させていくため
の心がけやかかわりについて、考察が深められた。また賜物の発見や奉仕へのお
誘いではなく、内的な動機づけ、などが論じられた。

藤田氏はセッション①、②で連続講演。求道者へのアプローチや信徒教育につい
て、自身が牧会する教会での実例から論じた。

③「開拓期の諸問題」では、架空の開拓教会を想定して、地域の人口動態、開拓の背景、中心メンバー、牧師候補の背景・性格、教団のサポート、牧会メンターの牧師など、詳細を設定して、開拓で予見される諸問題を小グループ別に討議。さらに開拓開始後に生じた危機的な状況を設定して、その対処を討議した。討議内容の発表とまとめでは、開拓における主体・責任の所在、サポートの在り方、牧師の主体性・覚悟などが問題にされた。この討議が、「模擬評価」として行われた。

④「教会開拓とビジョン設定」では、大宣教戦略策定マップのツールを用いながら、具体的な地域特性、人口動態、行政のマスタープランを踏まえた教会のビジョン・戦略が討議された。「夢をきれいな言葉だけで浮遊させず、具体化することが大事」「開拓も、良い時期、悪い時期がある。自分や周りを責めず、神様の御心を学びたい」とのアドバイスがあった。

総括としてKDK会長の嵐時雄氏は各セッションを振り返り「開拓伝道では、情熱はもちろん大事だが、謙遜と協調性、御言葉に基づく理性が大切であることが分かった、、、、、、、

2024年02月11日号 06面掲載記事)