レポート・野原愛(アロン318コミュニティチャーチ牧師)

国内避難民の子どもらとレクリエーションをした

2023年5月、インド北東部に位置するマニプール州で民族間の衝突が発生しましたが、主な原因はインドにある「指定部族」制度を巡る対立でした。インドでは、ヒンドゥーのカースト制に属さない先住部族を差別や格差そして残虐行為から保護するための「指定部族」という制度があります。

しかし、マニプール州ではこの制度を少数部族への特権制度とみなす多数派部族の中から、自らも指定部族認定されるべきであるとの要求の声が高まり始めました。それに対して全民族学生連合がM族の要求撤回を求める抗議デモを開催したのですが、この学生連合のデモに反発する一部が暴徒化し、各地で放火や破壊行為、略奪、そして弱者に対する暴力が発生しました。

残念ながら政府介入の遅れ、特に首相が事態に対して沈黙を貫いたため被害の拡大を防ぐことが出来ず、5万~7万人ともいわれる人々が国内難民となる事態へと発展していきました。指定部族の大半がキリスト教徒であるため、教会が標的となり約300以上の会堂、さらに学校やケアセンターなどの関連施設が破壊されました。

さて、今回被害に遭った教会のほとんどがバプテスト派であったこともあり、すぐに沖縄バプテスト連盟にも現地からの祈りの課題が届きました。その課題を連盟全体で共有し、祈りと献金による支援を行っていましたが、昨年10月にアジア太平洋バプテスト連合を通して、避難生活を続ける子どもたちを対象としたイベント企画の要望が寄せられました。

先方が希望する開催時期は1月ということを聞き、当初短期間での準備に不安もありましたが、「主がお入用なのですから」という確信をもって計画を進めることにしました。すると、東京基督教大学に通う沖縄県出身の学生4人と韓国人学生1人、そして沖縄から2人のユースが働き人として手を挙げてくださり、また諸教会から献金や献品も多く寄せられ、1月17日から22日の日程で、短期宣教へと出発することが出来ました。

現地では、子ども向けレクリエーションイベントを3回行いましたが、参加する子どもたちのうれしそうな笑顔、ゲームに歓声を上げる声を聞きながら、「イエス様は私たちを遣わすことで、この子たちを祝福したかった」ことが実感として迫ってきました。また保護者の方々から「来てくださってありがとう。子どもたちが8か月振りに笑うことが出来ました」という言葉をかけていただき、うれしさと同時に彼らが直面する現実の厳しさと悲しみを改めて思わされました。

3日間のイベントを終え、私たちは安全な日本へと帰国しましたが、避難所の子どもたちは先の見えない日常へと戻っていきました。その現実を忘れることなく、同時に、海の中に道を造られる主が彼らと共におられることを覚えつつ、今後もマニプールを覚え、祈り、奉仕へと遣わされたいと願っています。

2024年03月10日号   07面掲載記事)