イースター前のレント(四旬節)の40日間などに、世界の「苦難」を覚える祈りやメッセージが発信されている。世界福音同盟(WEA)や世界教会協議会(WCC)が取り組みを進めた。豊富なレポートや祈祷文、動画などの資料を活用できる。

 「家族」で40日

WEAでは、家族問題に取り組む「ファミリーチャレンジ」が主催して、イザヤ58章に基づいた「家族としての家族のための40日間の祈り」(URLworldea.org/lentprayer)を始めた。40日間毎日テーマごとに約4分の動画を配信する(テキストもダウンロードできる)。家族についての聖書理解に始まり、仕事で搾取されている人々のため、搾取されている女性、子ども、家庭内暴力、虐待、形式的信仰、不正義、借金、性的虐待、性的誘惑、政治的抑圧、薬物・アルコール・デジタルの依存症、人種差別、飢餓、貧困、孤児・未亡人・難民、災害…など現実的で、深刻な内容を祈る。

「ファミリーチャレンジ」代表のマシュー博士は「イースターに断食の伝統があるが、イザヤ58章は何が霊的で真実な断食かを問う。これを黙想し、神のみ顔を求め、悔い改めよう」と勧めた。

ラマダンの30日

今年のイースター後半は、イスラム教のラマダン月と重なる。WEAは3月10日から4月9日までの祈りを呼びかけている。4月5日には24時間のオンライン祈祷会を開く。WEAが協力する「110シティプロジェクト」では、「2024年イスラム世界のための30日間の祈りガイド」(URLwww.110cities.com/blog/islamguide2024/)を作成。

期間中毎日、イスラム世界の都市ごとに解説と祈祷課題を紹介する。子ども向けの10日間の祈りのガイドもある。

WEAはイスラム長老評議会事務総長と2月16日にアラブ首長国連邦アブダビで会談し、人類友愛の価値観、宗教間の対話、気候危機や環境保護、差別撤廃、平和など共通の世界的課題での協力促進を確認している。

 パレスチナ、イスラエルを訪問

WCC総幹事のジェリー・ピレイ氏は3月7日にイースターメッセージを発表した(URLwww.oikoumene.org/resources/documents/easter-message-2024)。「暴力と死に慣れる」世界の危機に言及し、イエス・キリストの十字架と復活に触れ、「今日、苦しみと死のあらゆる状況において、復活の主が私たちに命と希望と愛をもたらしてくださる」「いのちの神は世界の正義と平和を代表する」と奨励した。

WCCでは、近年パレスチナとイスラエルに伴走する「イースター・イニシアチブ」を実施している(URLwww.oikoumene.org/news/wcc-easter-initiative-to-remind-the-world-of-what-is-needed-to-bring-about-peace)。今年のテーマは「暗闇からの脱出― 聖地とのイースターの連帯」。

ピレイ総幹事は2月16日から22日にパレスチナとイスラエルを訪問。エルサレム総主教など現地のキリスト教会代表やイスラム教代表、パレスチナ大統領、イスラエル大統領らと会談した。オリーブ山の昇天教会では日曜礼拝の説教をした。

パレスチナ大統領とは、人道支援を提供し、宗教の自由を確保すること、すべての人間の尊厳を守り、国際法の原則を尊重する上で政治指導者が果たさなければならない極めて重要な役割と責任、などについて話した。

イスラエル大統領とは、人道支援を提供する意図の一環として、停戦に向けた取り組み、気候・環境問題、食料安全保障の問題に取り組む際の協力を求めた。

エルサレムの教会指導者らからは、エルサレムのキリスト教徒としてのアイデンティティーの維持に関する教会指導者による世界会議の開催が要請された。若い家族の国外脱出により、聖地におけるキリスト教徒の存在が急速に減少している状況がある。