改正入管法本格運用控え意見交換 「監理措置制度が今後問題に」
「入管被収容者・仮放免者たちを覚えるズームコネクション」が2月16日、オンラインで開催された。呼びかけは日本福音同盟(JEA)宣教委員会異文化宣教ネットワーク。昨年6月成立した改正入管難民法の本格的な運用が今年6月から始まるのを控え、被収容者との面会活動を行っている、カトリックを含む牧師、信徒ら十数人が意見交換した。
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参加者の自己紹介の後、長崎県にある大村入管の被収容者や仮放免者などの面会活動を行う柚之原寛史さん(長崎インターナショナル教会牧師)が現状を報告。「被収容者は現在14人。うち10人のベトナム人は帰国を希望している。日本に子どもや親がいるなどの理由で帰国を拒んでいるブラジル人3人とフィリピン人1人とは面会を続け、入管内で行われている月に1回の礼拝に参加している。入管から出た人の中には、仮放免生活が10年を超える人や3年以上の長期収容で病状が悪化し、寝たきりで入院中の人もいるが、定期的に訪問するなどの支援を続けている」
「大村入管はここ数年、被収容者数が10人前後とほとんど変わらないが、入管の職員数は明らかに増えている。今後、多くの人たちが大村に移送され、強制送還など入管難民法改正に伴う運用が始まっていくのでは」と、予測される事態について不安を表した。
名古屋入管の被収容者の面会を続ける入管面会活動「フレンズ」の西山誠子さんは、「名古屋入管の被収容者は、現在は50人ほど。昨年秋から、入管職員の処遇を減らすという理由で、面会時間40分だったのが20分に減った。何度も申し入れをし、現在は30分に戻っている」と報告。6月以降については、「管理人が報告を怠ると罰則が科せられる管理措置制度と従来の仮放免制度との併用となる。具体的な運用は本庁で検討中とのこと。退去強制の身分は変わらないから、被監理人も従来の仮放免者同様に、住民票はない、就労は不可、社会保険や国民健康保険の加入対象外だ、と法務省の回答があった」と話した。
カトリック大阪大司教区社会活動センター・シナピス事務局のビスカルド篤子さんは、「シナピスでは、面会に行くボランティアチームと仮放免者をサポートする支援チームがある。被収容者たちを出したい入管に対しては、私たちが受け皿になり、生活も支援しますと伝えている。無期限の長期収容は人権侵害と思っているので、再定住の道を探ることに力を入れている」と言う。一方、「仮放免者の保証人にもなってきたが、監理措置制度があるので、シナピスではもう引き受けない。保証人に関する話は、行政書士協会に持っていっている」。また、管理措置制度下では、管理者(保証人)が入管への報告義務を怠った際に管理責任が問われるなど、懸念材料についても話した。
そのほか、他の参加者からは、「教会にN国の収容者から洗礼を受けたいとの電話があった。話を聞くと、半分は改正後に何が起こるか分からないといった漠然とした不安からで、強制送還から免れる確率を増やしたいという心情が働いているようだ」、「10か月、1年と収容され、精神的、肉体的に病んでしまい、治療もできずにひどくなる被収容者がいる。面会するたび、元気がなくなるのを見て、つらくなる」などの声が聞かれた。
次回は、4月19日に開催の予定。テーマは「監理措置制度の施行について」で、発題者は西山さん。「入管被収容者・仮放免者たちを覚えるズームコネクション」に関する問い合わせはEメールj.clayhouse@gmail.com 永井敏夫まで。