中高で毎朝礼拝をしている。同学園に隣接する日本基督教団遠州栄光教会の礼拝堂で

 

「高校と一緒に礼拝の時間をまもりたい」
本校は2009年、聖隷クリストファー高等学校に中学校を併設しました。高等学校では伝統的に、毎朝礼拝の時間が持たれていましたが、中学は様々な事情のもと、朝の礼拝の時間がありませんでした。しかし、設立から2年ほど経った時、中学の先生方から、高校と一緒に礼拝の時間を守りたいとの声が上がってきたのです。それはクリスチャンではない先生方からでした。

本学園は、浜松という地方都市、それも中心地ではない郊外に位置する学園ですが、全国でもめずらしい環境の中にあります。学園の周囲数百メートルの中に、聖隷三方原病院や、日本で最初となる特別養護老人ホーム「十字の園」、障がいをもった方の施設「小羊学園」や「聖隷厚生園」、介護老人保健施設「ベテルホーム」、そして複数のこども園など、20以上の医療・福祉施設があり、それらに囲まれるように本学園は立地しています。

本学園の歴史を振り返れば、この地で結核の患者たちと共に歩み始めた90余年にわたる聖隷の歴史が、このような得難い、「聖隷ゾーン」と言われる環境をつくってきました。

中高等学校でも「労作」という授業で、生徒が施設に出向き、お手伝いするなど、関わりをもっています。そして授業でなくても、高齢の方や病気の人、障がいを持った方、こども園の子どもたち、様々な人々が学校の周辺で共に生活をしています。ダイバーシティーやインクルーシブ、ノーマライゼーションという言葉が一般的になるずっと以前から、この「聖隷ゾーン」といわれる地には、多様性、共に生き得る歩みがあふれています。

現在聖隷学園には、聖隷こども園、聖隷クリストファー小学校、聖隷クリストファー中・高等学校、聖隷グローバルスクール、聖隷介護福祉専門学校、聖隷クリストファー大学・大学院があります。こども園・小学校、そしてグローバルスクールでは、英語ネイティブの教員によって、授業の多くを英語で行っています。小学校はバカロレア認定校となり、中高も認定のための準備を進めています。

大学・大学院では、全国でも初となるメディカルスクールの設立を目指し、世界の医療現場で用いられる医療者を育てる幻が神様から与えられています。

聖隷には、法律や社会的な条件などが整えられる以前から、苦しみの中にある人、助けを必要とする人々に寄り添い歩んできた歴史があります。むしろ聖隷の姿をもとに法律が整えられてきました。日本の社会の中で、聖隷はいつもパイオニアとして歩んできました。そして、その歩みを支え、力づけてきたのは、礼拝であり、聖書の言葉でした。

今後も、メディカルスクールやグローバルスクールなど、聖隷学園は新たな分野へパイオニアとして歩んでいくでしょう。そして、それは礼拝、キリスト教精神を大切にし、聖隷の精神を次世代に受け継ぐなかで進められる歩みなのです。

本学園でも、クリスチャンの教職員は決して多くありません。しかし多くのクリスチャンではない教職員の方々が、キリスト教教育を支え、建学の精神を大切なものとしておられることは、大きな恵みです、、、、、、、

記・大野和男=聖隷学園宗教部総主任 聖隷クリストファー中・高等学校 宗教部長

2024年06月16日号 06面掲載記事)