「CALM(カーム)」は、2019年6月に中村恵久(よしひさ)さんが発起人となり立ち上がった、IT関連職のクリスチャンが集まるコミュニティー。これまで、オンラインチャットツール上でコミュニティーを形成してきたが、利用するサービスを「Slack」から「Discord」に切り替えた。その〝リニューアルローンチイベント〟が、7月11日に行われた。コロナ禍以降もオンラインのイベントは何度か開いてきたが、対面のイベントはコロナ後初。平日の夜、文化と活力のまち、東京都心は原宿に、世界指折りのIT企業の最先端分野に参画中のエンジニアや、人気映画作品のCGスタッフなどが集結。賛美と食事の交わりの時は深夜まで続いた。

Slackは、企業内・企業間の連絡や会議、学校のオンライン授業や課題管理など、比較的フォーマルな用途を中心に普及している。対してDiscordは、オンラインゲームのプレイ中にグループ通話したり、不特定多数の同好の士と談義するなどSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)の性質を持ち、インターネットカルチャーにネイティブな人々を中心に普及している。今回の移行により、コミュニティーのさらなる活性化や、プロジェクトの加速が期待される。
リラックスした雰囲気と、くだけた趣味の会話などから、アイディアが生まれ、スキルを持つ人とプロジェクトとのマッチングが行われていく。それはこのイベントでピザを囲んでいる間にも起こっていた。


食事を共にする交わり

CALMには、俗に言う〝スピード感〟でなく、事実スピードがある。クリスチャン向けコロナ対策サイト「CHRISTIAN COVID-19」の企画からリリースまで3日だったのが好例だ。
既に技術的には開発済みで、あとは法務関係の整理を待つのみのアプリもあるという。高度な人材マッチング機能を有するこのコミュニティーなら、法務の専門家もすぐに見つかるだろう。

今回のイベント会場は、企業のプロモーション映像制作などを手掛ける会社「FEARLESS(フィアレス)」のオフィス。フリーアドレス(決まった席がなく、自分の機材をテーブルに持っていき作業する設計)、バランスボール、コーヒーマシン、その他の趣味性の高い調度品……いかにも映像表現のアイディアが生まれそうだ。同社はコーヒー事業も展開し、「Sedai Coffee & Roasters」を原宿の一等地「キャットストリート」に構えている。
FEARLESSの二人のファウンダー(創業者)はクリスチャン。中村さんと不思議に出会って意気投合し、こうして会社のオフィスをイベント会場として提供するまでになった。社員の大多数はクリスチャンではないが、好意的だという。中村さんをはじめ、同業クリスチャンたちの祈り会にも、平日の朝など定期的に場所を提供している。


オフィスに賛美がひびく

この交わりは、財産になる――

こうした職域別の交わりと祈りの場があることで、「東京での仕事の闘い方が変わってくる」、と中村さんは力説する。技術的な話題が通じる人は教会ではまだまだ多くない。週のなかば、原宿の真ん中で集まり、仕事の悩みを共有し、祈り合い、モチベーションを高め合う。
「私たちの目的は、こうしていろいろな人がつながり励ましあうコミュニティーができること。転職を考えている人がいれば、『あなたの会社、どうなの?』とか『うちにおいでよ』とか。普段あまり交わらないようなチャンネルの人たちが、テック系、IT、という共通点で話せる場は、結構面白いんじゃないか」
お互いの職歴やスキルを知り、情報交換する。プロジェクトに必要なスキルを持つ人に出会う。自分のスキルを生かせるプロジェクトに出会う。適材適所が促進されそうだ。

CALMは、特定の教会や献金といった具体的な後ろ盾を持たない。かえってそれが大事なのだという。「言えないことが増えたり、あちらを立てればこちらが立たないとか、そういうことは、このコミュニティーでは無しにしよう、と。そうしないと進まないこともある」
しかし中村さんはこうも証しする。「堅くみことばに立たなければならない。そこは譲れない。だけど柔軟性も持って、テクノロジーをどう生かすかを考える。テクノロジー=悪、ではない。神様が今この時代に与えてくださっている、明らかにしてくださっているもの。だからこそ、どのように用いるかを考えるのが、すごく大事」


プレゼンテーションする中村さん(左奥)

特に課題が多いAIについては、「一概に『AIはだめ』となって壁を閉じたら、それはそれで機会損失になる」と、、、、、、

CALM公式ウェブサイト: https://calmform.com/
Facebookページ: https://www.facebook.com/calmform/

【間島献一】

2024年08月04日号 06面掲載記事)

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