茨城県つくば市、牛久市を中心に働きを展開する茨城YMCA(宮田康男総主事)が、創立30周年を迎え、その記念礼拝、祈念講演会が6月8日、行われた。礼拝説教と講演会講師は、東京基督教大学学長代行の山口陽一氏。事務局のある東新井センターに隣接する、日本基督教団筑波学園教会を会場に、YMCA職員のほか、10の関係教会、関係団体からも合わせて、約60人が参加した。

第1部の礼拝では、宮田氏があいさつ。創立時を振り返り「多くの方々の支えにより、今日がある。これからを担う人たちも与えられている。これからの新しい歩み出しをみんなでしていきたい。小さな人々に寄り添い、私たちが信じるイエス様を伝えていけるYMCAでありたい」と語った。

山口氏はマタイの福音書25章から「最も小さい者たちの一人に」と題して説教。古代の教会の信者が弱っている人々を当たり前のように助けたことから、「YMCAの事業はすべて人に向かう働き」、「目の前の人にすることを、キリストのためと思えたなら素晴らしいが、私たちはどれほど目の前にいるキリストを見過ごしているか」と指摘。「キリストにしたことは気づかなくていいが、しなかったことには気づきたい」「永遠のいのちに入る人たちは、すでに永遠のいのちに入る生き方をしている」「YMCAの働きは、永遠のいのちに向かって、永遠のいのちを今生きる働きだ」と語った。

第2部の講演題は、詩篇37篇3~6節から「茨城YMCAの未来へ~30周年の感謝と心の願い」。3、4節の「主に信頼し善を行え……主を自らの喜びとせよ」こそがYMCAの「心の願い」だとする山口氏は、ロンドンで始まったYMCAがキリスト教社会における働きであったのに対し、日本のYMCAが異教社会での働きであり、それが明治初期、20歳代の若い牧師らの「心の願い」によって始まったことを指摘し、「日本のキリスト教史はそのままYMCAの歴史と重なる」とする。それ以降の歴史を踏まえ、「YMCAの〝C〟(キリスト)を意識しないと、その『心の願い』は失われる。茨城YMCAは、子どもたちへの働きを中心に〝C〟を強めようとしている。茨城県キリスト教史における未来の希望も、日本のYMCAの未来も、ここにある」と語った。

最後に、理事長の稲本修一氏が、「茨城YMCAには、社会を良くしていこうという気持ちにあふれた人が多く、心強い。つくば市は人口が増加し、教育に力を入れている。私たちがさらにその必要に応えるには、みなさんの協力が必要。この地域で輝くYMCAになれるように」とあいさつした。
【髙橋昌彦】

山口氏が説教と講演をおこなった

2024年06月23日号 02面掲載記事)