クリスチャントゥデイ控訴審口頭弁論 「信仰を秘して」争点に 判決は10月
株式会社クリスチャントゥデイ([矢田喬大代表取締役社長]、以下原告)が根田祥一氏(クリスチャン新聞顧問、異端・カルト110番編集顧問、以下被告)に対して名誉棄損を訴えた訴訟の控訴審第1回口頭弁論が9月4日、東京高等裁判所で開かれた。原告側は、3人の代理人弁護士が、被告側は、被告と2人の弁護士が立った。原告、被告から新たに提出された控訴状、控訴理由、答弁などの書類確認の後、被告、原告がそれぞれ意見陳述した。判決は10月30日の予定。
同訴訟は、クリスチャントゥデイが関与する、張在亨を「再臨のキリスト」とする「共同体」についての証言を集めたブログサイト「ダビデ牧師と共同体を考える会」の投稿についての名誉棄損損害訴訟。
同ブログに投稿された5つの記事(2019年)のリンクを、被告が自身のSNSに転載・拡散したことについて、原告が名誉棄損を訴えたもの。今年4月の東京地裁での一審では、原告が請求した110万円及び利息のうち、50万円及び利息の支払いを命じたが、それ以外は棄却された。
控訴審では、原告が一審の事実認定に不服を示し、当初の請求の残りとなる60万円ほか訴訟費用などを求めた。被告もこれを受け「附帯」の形で控訴し、一審の敗訴部分の取り消しなどを求めた。
控訴審は、一審の判決を提出書類中心に再吟味する。控訴審にあたって、原告は代表取締役矢田喬大氏、前代表取締役高柳泉氏、淀橋教会主管牧師峯野龍弘氏の陳述書を提出し、この3人の人証(証人尋問)を求めた。高裁は陳述書の内容で吟味するなどとして、人証は却下し、3人が法廷に立つことは無くなった。
一審では、原告が侵害部分とした5つのブログ記事の10個所のうち、5個所については原告の主張を認めた。理由として、ブログ記事作成時より相当前の原告組織の労働実態だとして、記事作成時(2019年)の実態を推認する証拠はない、などとした。2003年から07年における労働関係法規の軽視、信奉者の寄付、借財や奉仕を頼る傾向については真実性を認めた。
一方、ブログ記事の他の5個所に関しては、原告の主張を退けた。一審口頭弁論に立った2人の元信者の証言を参照し、07年に「共同体」の宣教師の不正入国があったこと、また原告構成員が、その活動の便宜のために「共同体」への信仰を秘してウェスレアン・淀橋教会に通い、従順である態度を示して、峯野龍弘牧師の信頼を得ていたことを認めた。
今回の控訴で、原告は、原告代表の矢田氏らが、「共同体」への信仰を秘して淀橋教会に「入り込む」などとした一審の事実認定を中心に反論。峯野氏は55年以上同教会牧師を務めてきた経験と、約20年にわたり淀橋教会で信徒らと交流してきた矢田氏を見てきた観察に基づいて一審の事実認定を否定した。
これに対して被告は、統一協会の信仰を秘した牧師を30年間活動させてしまった日本基督教団の事例を紹介する陳述書、日本福音同盟(JEA)のクリスチャントゥデイ対応の経緯を説明する陳述書、原告を擁護する峯野牧師を憂慮する署名(JEA現理事長、同総主事、同理事、同元理事長、同元総主事、異端カルト問題専門家など32通)などを提出した。
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