VR(バーチャル・リアリティー。仮想現実)をプロモーションに用いる企業が増えている。コロナ感染症流行の初期には、店舗をメタバース(仮想空間)上に再現するなど、現実世界の代替としての活用例が出現。現在では、娯楽業、製造業、地方自治体などがブースを出展するオンラインイベントが開催されるまでに発展している。

日本聖書協会(JBS)も9月2日、「バーチャル聖書館」をオープン。JBSが事務所を置く「聖書館ビル」(東京都中央区)にちなんだ名で、情報発信の場とする。オープン記念の「プレゼントクイズ」も9月30日まで応募を受け付ける。

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入館は、 https://www.bible.or.jp/metavers.html から。ヘッドセットなどのVR機器がなくても、パソコン、スマートフォン、タブレットなどから接続できる。アバター(仮想空間で使う〝自分の体〟)を選び入室すると、展示室のよような空間に降り立つ=上写真=。壁に並ぶパネルをクリックすれば、邦訳聖書の歴史、印刷・製本技術、UBS(聖書協会世界連盟)、AVACO(キリスト教視聴覚センター)、点訳聖書などについて、解説ページを読むことができる。動画コンテンツも用意されている。直営の通販サイト「バイブルハウス南青山」にアクセスもできる。

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JBSでは数年来、メタバースのような新しい形での情報発信が必要だ、との認識があり、デジタルネイティブ世代に限らず総主事の具志堅聖氏も積極的に考えていた。適したサービスが見つかり、今回のオープンに至る。VR・メタバース研究者が話題に挙げるなど、既に反響があるという。

「JBSは『聖書をお届けする ひろく あまねく』を使命に掲げている。地方でもイベントを開催するなど努めているが、全ての方に届けるということは難しい。バーチャル聖書館では、どこからでも同じように体験していただける。時間・空間を超えて情報提供したい。既存の発信方法だけでは届いていない層に訴求したい。若い世代に限らず、開拓の余地がある」と、広報の高橋章子さんは話す。

JBSは2025年10月に、聖書普及事業150年を迎える。それまでの一年間、広報や記念企画に注力する。講演会や「聖書展」など、バーチャル聖書館を会場にしたオンラインイベントなどの記念企画も構想されている。

【間島献一】