9月20日から22日にかけて、輪島市や珠洲市など能登半島地震の被災地を襲った記録的豪雨(以下・能登豪雨)を受け、能登ヘルプ(能登地震キリスト災害支援会)主催による「能登支援 臨時情報共有会議」が25日、オンラインで開催された。豪雨災害の現状と被災者の心情について、支援にあたる現地牧師や災害支援スタッフらが報告した。

最初に、能登ヘルプ代表の岡田仰氏(金沢独立キリスト教会牧師)が現状を報告。25日現在、能登豪雨による死者9人、行方不明2人、避難者632人、安否不明6人、孤立集落56か所、氾濫河川23、仮設住宅(以下・仮設)浸水9か所、断水3,700戸(輪島中心)、通行止め22路線44か所で、「教会の被災報告はないが、信徒に被災者、安否不明者(その後生存確認)がいる」と報告。「ダビデは大変な苦境に立たされた。(中略)しかし、ダビデは自分の神、主によって奮い立った」(Ⅰサムエル30・6)を引用し、「地震から9か月を経て、ようやくこれから仮設の見守りか、という時に能登豪雨が起こった。被災地の方々も心が折れ、ガックリしているとのこと。しかし、私たちは主の愛、真実、知恵、計画を信じて、立ち上がっていきたい」と語った。

荒川氏

荒川康司氏(聖書教会連盟・輪島聖書教会牧師)は、「相当のエリアが浸水し、川周辺の家々が主に被災している。家の中は泥だらけ。川周辺には大量の大木が流れてきている。仮設住宅も浸水し、仮設の被災者は避難所に移動している。『地震の時は頑張れたが、今度はもう無理、踏ん張れない』という声も聞く。今回、被災した人としなかった人との温度差が気になる」と報告した。

国際NGОオペレーション・ブレッシング・ジャパン(ОBJ)スタッフの南条良樹氏は「輪島市町野町の酒屋を拠点に物資を置き、被災者に取りにきてもらっている。仮設にも行って物資を配布した。仮設ではとにかく水が必要とのことで、南志見地区の仮設には水のケース80箱を置いた」

南条氏と共に支援活動にあたる梶山直樹氏(ニュータウンカルバリーフェローシップ牧師)は、「南志見地区は山の中にあり、道が一本しかない。元旦の地震直後、集落の全員をヘリコプターで金沢の体育館に避難させた地域だ。地震でも壊滅的な被害だったが、今回は土石流と崩落で、地震の時以上に大変な状況だ。道路も何か所も封鎖され、家が流されたところもある。南志見地区の公民館班長と話したが、『今冬は除雪に入れないので、冬がもっと怖い。冬に備え、いろいろな準備が必要だ』と話していた。今後の課題として覚えてほしい」と語った。

豪雨被害の状況を説明する市來氏

能登ヘルプ支援リーダーの市来雅伸氏は、「先遣隊を23日に派遣し、輪島聖書教会は能都聖書教会キャンプ場に泊まりながら活動している。150㎝の床上浸水の家で、浸かった畳を外に出し、カビを防いでいく作業を始めている。床下に溜まった水をポンプで排出して作業していくことになる」

「今回、台湾チーム、東京聖書学院、TEF(東海福音フェローシップ)から50人、スタッフ入れて60人弱でボランティアを組んでいたので、迅速な初動が取れた。地域教会に向け、SNSで水、雑巾の募集を開始し、早速、多くの方々から連絡をいただき、届けてくださっていることに感謝している。水害に関しては、被害は甚大だが局所的だと感じている。目途として、3週間から1か月で祈りつつ集中的に取り組みたい。一つ一つ、丁寧に、真摯に取り組んでいくことが求められる」と語った。

今後の取り組みについては、①地震被害と並行しての対応なので、人員確保のため、この機会にボランティアを送ってほしい。経済的支援も柔軟に対応。②輪島では、輪島聖書教会に寄せられている支援要請案件(現時点で20件)に取り組む。要請を受ければ、順次、誠実に対応。③関連死を防ぐため、「もう踏ん張れない。心が折れた」人たちへの傾聴や精神的ケアに取り組む、などを挙げ、「雑巾、タオルの支援、ボランティアの派遣をお願いしたい。地震と豪雨のダブルで心が折れたと言う被災地の方々のためにお祈りしてほしい」と要請した。

ボランティア募集並びに雑巾、タオル支援などの問い合わせはURL https://notohelp.bousai.network/ 能登ヘルプのウェブサイトから。