「救済ではない、闘いの同志」 30年夜回りを続ける桜井さん 修学院フォーラム
夜回りの活動を通して見えてくるもの
10月12日、京都市左京区一乗寺竹ノ内町にある公益財団法人日本クリスチャン・アカデミー関西セミナーハウスを会場にして、2024年度修学院フォーラム「福祉」第1回が行われた。講師は桜井希さん(同志社中学校・高等学校聖書科教諭)。「夜回りの活動を通して見えてくるもの」と題して、30年間続けておられる京都での夜回りの体験を語ってくださった。野宿する人に最初はお茶を配っていたが、今はお茶を一緒に飲んでいる(出張カフェ)という関わり方の変化がとても興味深いお話だった。
桜井さんの原点は大阪釜ヶ崎での夜回りである。故金井愛明牧師が1993年に出された「お米をください」という衝撃的な手紙を紹介しながら、「野宿者を救済の対象ではなく、闘いの同志として」考える発想に、他人事を自分事にしていく取り組みの経緯をお聞きすることができた。現代社会がリスクマネジメントや自己責任を優先する中で、責任を回避するシステムをつくりあげてしまい、当事者の困難を受け止めず、街をクリーンに野宿者を排除する方向に向かっていることを具体的にお話しされた。
10年目にしてはじめて、反応する野宿者の方との関わり、コロナ禍で夜回りに参加することで救われた大学生の話など、桜井さんのお話の中から人として大切なことがじわじわっと伝わってきた。
対面16名、オンライン2名の参加であった。(レポート・鳥井新平=日本基督教団・近江平安教会牧師)