株式会社クリスチャントゥデイ([矢田喬大代表取締役社長]、以下原告)が根田祥一氏(クリスチャン新聞顧問、異端・カルト110番編集顧問、以下被告)に対して名誉棄損を訴えた訴訟の控訴審の判決が11月13日、東京高裁で言いわたされた。

原告は被告に、110万円と諸費用を請求したが、判決では66万円ほか諸費用を認めた。

同訴訟は、クリスチャントゥデイが関与する、張在亨を「再臨のキリスト」とする「共同体」についての証言を集めたブログサイト「ダビデ牧師と共同体を考える会」の投稿についての名誉棄損損害訴訟。同ブログに投稿された5つの記事(2019年)のリンクを、被告が自身のSNSに転載・拡散したことについて、原告が名誉棄損を訴えた。今年4月の東京地裁一審の事実認定に不服を示した原告の控訴に被告も「附帯」の形で応じた。

控訴審判決では、一審同様に5つの投稿のうち投稿2、投稿3の一部、投稿5の一部に名誉毀損を認めたのに加え、新たに投稿4の認定事実を覆し、名誉毀損を認めた。

今回控訴審で事実を認定したこととしては、一審を踏まえつつ、平成15年の設立当時、①張牧師が設立した韓国クリスチャントゥデイ等からの資金援助を受け、張牧師の信仰に関わりのある高柳泉氏が代表取締役となったこと、②原告や張牧師の関連組織の活動には、張牧師の信奉者が「使役」として無償で従事し、寄付や借財を求められることがあったこと、③原告の従業員の中には、張牧師の示唆により、東京ソフィア教会に所属することを明らかにしないでウェスレアン・淀橋教会(峯野龍弘主管牧師)に通った者がいたこと、④張牧師が、平成16年から平成18年までの間頃、原告が発言する記事の内容等について指示をすることがあったこと、⑤張牧師の信奉者と思われる者が、平成20年10月に、チャットを通じて、高柳氏及び矢田氏を含む当時の原告の関係者に対し、張牧師の発言であるとして、被告が執筆した原告に関する記事に対する対抗手段として、原告も反論の記事を書くよう求めたことがあったこと、などが挙げられた。

ただし、今回のブログ投稿が行われた平成31年当時については、代表取締役の変更や峯野取締役会長就任、従業員体制変更、インターネット展開拡大などにより、原告が「無軌道な思考の持ち主によって運営され、まともな事業を営めず、社会性を逸脱する傾向を有するとの点は、いずれも真実であるとの証明がなされたとはいえない」とした。

また今回控訴審では、新たに原告側から提出された、高柳氏、矢田氏らの陳述書で、張牧師への信仰を否定したことや、峯野氏の陳述書で、矢田氏に「異端的な言動や行動が見られたことはない旨」を受けて、「異端信仰を秘して、峯野牧師を騙した」旨の一審判断を覆した。

今回控訴審で被告が提出した、①経験豊富な宗教家であっても、真の信仰を隠している信者の嘘を見抜くことは容易ではない、②高柳氏は張牧師が設立したとする教団(オリベットアッセンブリー教団)の牧師であり、矢田氏は東京ソフィア教会の後続とされる教会にも出入りしている、などの主張や証言記録類についても、「峯野牧師の認識に不合理な点があるとは認められない。また、上記②の高柳氏の地位や矢田氏の行動は、両名が未だ張牧師との関係を維持していることをうかがわせるものの、異端信仰を秘して峯野牧師を騙しているとの事実を直ちに帰結するものとまではいえず、疑惑の域を出るものではない」と判断した。

本控訴審当日10月30日の予定だった判決が延期し、この日実施された。

 

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