新連載 首都圏の宣教を考える1 伝道の学び、繋がりにニーズ 阿部頼義さん

◇セレブレーション・スタッフ・阿部頼義さん

(ECC・経堂めぐみ教会青年担当牧師)

日本の中枢であり、世界的にも最も人口が集中する「首都圏」。東京・神奈川・埼玉・千葉各都県で人口は3千万、プロテスタント教会数は2千に及ぶ。このエリアの宣教課題は多様だ。11月20〜22日に東京の武道館で、首都圏の諸教会とビリー・グラハム伝道協会の協力による5万人規模の伝道集会「セレブレーションオブラブwith フランクリン・グラハム」(以下、セレブレーション)が開催される。この連載では、同集会スタッフの思い、地域教会の目線に触れながら、セレブレーションを迎える首都圏(引いては日本)の宣教課題を考えていく。第1回はスタッフの阿部頼義さんに聞く。

∬   ∬

米国の神学校で学び、昨年9月に帰国したばかり。来年には開拓伝道を予定しているが、日本の教会とのコネクションも薄く、「日本の宣教について知らなければならない」という思いがあった。そのようなとき、学生時代からお世話なっていた、松井牧子牧師(インマヌエル浦和教会)に再会した。セレブレーションの事務局にいた松井牧師の勧めで、1月からこの奉仕を始めた。奉仕を通して、「教団・教派ごとに様々な主のわざがあることを知った」と喜ぶ。 事務局での役職は、教会協力/運営事務オフィスサブリーダー。各ミーティングの準備、調整、出席、またユース(青年)やキッズ(子ども)プログラムの事務的橋渡しもしている。

準備を進める中で、教会のニーズもうかがえた。「すでに関連のコンサート、特別ゲストのイベントなど様々あったが、関心が高かったのは、『学び』です」

3月に開かれた個人伝道セミナーには、100人の予想に250人以上が参加。6月に開かれた、信徒向けの「クリスチャンの生活と証しコース」のためのインストラクター養成合宿では、50人の予定に約100人参加。そして8月から同コース(〜9月30日)が始まると、埼玉、千葉、東京、神奈川各都県70以上の教会を会場に2千人近くが集った。

奉仕する経堂めぐみ教会においても伝道の学びへの意欲を実感している。同教会は設立50年余り。信徒の高齢化や伝道の活性化が課題になっていた。「長年集っている信徒は、1967年のビリーグラハム伝道集会を覚えており、その大会を通じて多くの学生が集ったと言います。グラハム大会を通じて成長してきた教会でもあります。『クリスチャンの生活と証しコース』を通して、信徒のみなさんの伝道へのモチベーションが高まっています」

教会のユースにも期待している。同教会に就任してから、気軽に集まれる「ユース・ギャザリング」の機会を設け励ましている。「セレブレーションにも参加して、広いクリスチャンの世界を見て欲しい」と願っている。

首都圏のもう1つのニーズは教団・教派を超えた交わり。「今までなかなか会うきっかけがなかった人々と交わり、一緒に働くことができ、各地域が強められている。私の地域でも『セレブレーションが終わっても何か続けよう』と熱が上がっている。地域の教会のネットワークができることで、地域のニーズに応える様々な働きが生まれると思います」

大規模な集会の準備は苦労も多い。心の支えは、ヨハネ2章にある水くみをした召使いのエピソードだ。「これが主の働きであり、水が最後にはブドウ酒になるという希望がある。参加するほど恵みが与えられる。準備は計画通りにいかず、至らないことも多い。この信仰がないと大変です」

06年の沖縄大会を経験した牧師の言葉にも励まされた。「まず自分の心を守りなさい。準備はまとまってないようだが、本番が近づくにつれ変わり、本番には霊性ががらりと変わる。神の奇跡を見るよ」との言葉だ。

今後は、協力教会、ボランティアの信徒の動員、調整が山となる。「何よりも霊的に整えられ、一人ひとりが大会を見直し、友だちを連れて行こうという思いになること。プログラムではなく、ムーブメントです。目に見えない伝道の情熱のムーブメントがひろがっていければと思います」

次回は協力教会の声を聞く。【高橋良知】